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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和27(う)88

事件名

 横領被告事件

裁判年月日

 昭和27年10月13日

裁判所名・部

 札幌高等裁判所

結果

 破棄差戻

高裁判例集登載巻・号・頁

 第5巻11号1942頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 横領の訴因に対し背任の訴因を予備的に追加することが許される場合

裁判要旨

 「被告人は甲から現金九万円を預り、保管中着服横領した」という訴因に対し、「被告人は乙および丙の両名から甲とともに鰊油を製造または集荷の上ドラム罐入四〇本を引き渡すことの委託を受け、その事務処理のため金二〇万円を受領しながら、自己の利益を図る目的でその任務に背き、そのうちの九万円を自己の借財等に振り向け着服し右両名に財産上の損害を加えたものである」との訴因を予備的に追加した場合、被害者は異つても、基本的事実関係である保管にかかる現金九万円を着服流用した事実に変リなく、その保管が鰊油の製造等の事務処理のためであるとすれば、その保管金の着服流用は一面背任の性質を有することは否むことのできないところで、もし着服流用した所為が横領罪を構成すれば、その背任は横領に帰一し別に背任罪を構成しないだけであつて、横領の訴因に背任の訴因が予備的に追加されても公訴事実に変りはないから右の追加は許さるべきである。

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