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高等裁判所 判例集

事件番号

 昭和27(う)451

事件名

 住居侵入窃盗被告事件

裁判年月日

 昭和28年2月28日

裁判所名・部

 名古屋高等裁判所  金沢支部  刑事部

結果

 破棄自判

高裁判例集登載巻・号・頁

 第6巻5号621頁

原審裁判所名

原審事件番号

判示事項

 一、 邸宅内に侵入後違法の目的を生じた場合と住居侵入罪の成立
二、 他人の宅地内にある物件の窃取行為と未遂罪の一形態

裁判要旨

 一、 門内に立ち入る際には蛇の捕獲を目的としたものであつても、其の立入後たまたま窃盗の犯意を生じて宅地内にさらに進み入ることは、故なく他人の邸宅に侵入する行為となる。
二、 周囲を建物および板塀をもつて取り囲まれた邸宅内部に建在する土蔵の軒先にあるケーブル線の輪を同所から二〇米位離れた見透しの戸外にある家人の目から掠め取るため、前屈みとなつて附近の榊の木蔭れに地上を引き擦る行為は、その移動中の行為者の姿勢移動の方法などに照らしいまだ邸宅管理者の支配を完全に離脱しない物件を自己の支配内に移しつつ犯罪実行の過程にあるものと認むべく、右段階をもつては被害者の所持を排して自己の支配を確立したものということはできず、窃盗の既遂罪は成立しない。

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