裁判例結果詳細
高等裁判所 判例集
- 事件番号
昭和27(う)29
- 事件名
薬事法違反竝びに業務上過失致死被告事件
- 裁判年月日
昭和27年6月13日
- 裁判所名・部
名古屋高等裁判所 金沢支部 刑事部
- 結果
破棄自判
- 高裁判例集登載巻・号・頁
第5巻9号1432頁
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 判示事項
一、 上司の指揮監督と薬事法上の義務
二、 減菌器に劇薬を他薬と混在して、滅菌する行為と薬事法の貯蔵
三、 相牽連する複数の過失行為と因果関係
四、 看護婦による静脈注射と業務上の過失致死
五、 利害相反する共同被告人に対する単一私選弁護人の訴訟行為
- 裁判要旨
一、 薬剤師として薬事法の規定を遵守すべき義務のある者は、法規の認める範囲内において上司の指揮監督に服すベきで、上司の指揮または慣行があることを理由として薬事法所定の義務を免れることはできない。
二、 滅菌処理の目的で、劇薬ヌペルカイン在中のコルペンと葡萄糖注射液在中のコルペンを同一滅菌器に入れて存置したのは、薬事法三九条の貯蔵に該当しない。
三、 Aの過失行為とBの過失行為との間に甲の行為が介在した場合、甲の行為が前者の過失行為を補足し是正するに足るものでなくその発展の危険を増大せしめるものであるときは、Aは過失の責を免れることはできない。
四、 看護婦が医師の指示により静脈注射をすることは、刑法第二一一条の業務に該当する。
五、 共同被告人に対する単一私選弁護人が、各被告人相互の間に利害相反する主張または立証をしても、これがため不利益を受ける被告人のため弁護人を付さないで公判手続を続行したことになるものではない。
- 全文