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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成16(ネ)1933

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成18年7月7日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第14民事部

結果

 その他

高裁判例集登載巻・号・頁

 第59巻3号1頁

原審裁判所名

 大津地方裁判所

原審事件番号

 平成16(ワ)141

判示事項

 刑事施設の被収容者に対する第1回口頭弁論期日呼出状,訴状副本等の送達が当該刑事施設の長に宛ててされたが被収容者がこれらの書類の交付を受けることのないまま欠席判決が言い渡された第1審の訴訟手続が被収容者にとって手続保障の見地から看過しがたい不利益が生じる蓋然性があることを理由に違法とされ事件が原審に差し戻された事例

裁判要旨

 刑事施設の被収容者である被告に対する第1回口頭弁論期日呼出状,訴状副本等の送達が当該刑事施設の長に宛ててされたが,被告がこれらの書類の交付を受けることのないまま欠席判決が言い渡され,これに対する控訴があった場合において,事件の内容が,被告が相被告らと共謀して犯罪行為(詐欺)を行ったことによる巨額の損害賠償請求事案であり,被告と相被告らとの間において,詐欺行為の存在,これに対する関与の有無ないし程度等の点につき各人の主張や証拠関係が細部まで一致するとは限らず,場合によってはそれぞれの利害対立が生じる可能性も否定できず,原審に係属中の原告と相被告らとの関係ではこれから人証調べが実施されるという状況であり,この人証調べに当事者として主体的に関与することは被告にとって少なからぬ利益であること等判示の事実関係の下では,被告に対する前記の送達自体を直ちに不存在又は無効と解することはできないとしても,被告にとって手続保障の見地から看過しがたい不利益が生じる蓋然性があるというべきであり,その審級の利益を確保する見地から,控訴審裁判所は,第1審の訴訟手続が法律に違反するものとして,事件を第1審に差し戻すことができる。

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