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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成18(ネ)3454

事件名

 地位確認等請求控訴事件(通称 中野区非常勤保育士再任用拒否)

裁判年月日

 平成19年11月28日

裁判所名・部

 東京高等裁判所  第17民事部

結果

 その他

高裁判例集登載巻・号・頁

 第60巻4号1頁

原審裁判所名

 東京地方裁判所

原審事件番号

 平成16(ワ)5565

判示事項

 1 地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのあるものの勤務関係
2 地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのあるものに任用された者の再任用拒否と解雇権濫用法理の類推
3 地方公共団体が地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのあるものに任用された者を再任用しなかったことが国家賠償法上違法であるとされた事例

裁判要旨

 1 地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのあるものの勤務関係は公法上の任用関係であり,私法上の契約に基づくものではない。
2 地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのあるものに任用された者の再任用拒否については,解雇権濫用法理を類推して再任用を擬制する余地はない。
3 地方公共団体が地方公務員法3条3項3号所定の職に属する非常勤職員で任用期間の定めのある非常勤保育士に任用された者について,当該職が廃止されたことを理由に非常勤職員として再任用しなかったことは,当該職の廃止後当該地方公共団体の設置した保育園においては慢性的な人手不足状態にあり,通年パート保育士等の採用を行っていること,従前,保育士を確保する必要があったことから,上記非常勤職員に対し任命権者の補助職員が長期の職務従事の継続を期待するような言動を示していたこと,上記非常勤職員の職務内容が常勤保育士と変わらず,継続性が求められる恒常的なものであること,上記非常勤職員について再任用が多数回反復して行われ,職務の継続が長期間に及んだことなど,判示の事実関係の下では,当該行為は,上記非常勤職員が有していた任用継続に対する期待権を侵害するものとして国家賠償法上違法である。

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