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高等裁判所 判例集

事件番号

 平成21(行コ)11

事件名

 不当労働行為救済命令取消請求事件

裁判年月日

 平成21年12月22日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第10民事部

結果

 棄却

高裁判例集登載巻・号・頁

 第62巻4号1頁

原審裁判所名

 神戸地方裁判所

原審事件番号

 平成19(行ウ)97

判示事項

 元労働者が退職後労働組合に加入し,その後結成された分会から,使用者に対し,元労働者が使用者の業務に従事した際に石綿を吸引したことに起因して健康被害が発生している可能性があるなどとして,団体交渉を求めた場合において,使用者に団体交渉応諾義務があるとされた事例

裁判要旨

 元労働者が退職後労働組合に加入し,その後結成された分会から,使用者に対し,元労働者が使用者の業務に従事した際に石綿を吸引したことに起因して健康被害が発生している可能性があるなどとして,元労働者との間にかつて存続した雇用関係から生じた労働条件を巡る紛争に関して団体交渉を求めた場合において,(1)元労働者は,石綿暴露の可能性のある使用者の業務に従事したことによって健康被害が発生している可能性があり,上記紛争は雇用関係と密接に関連して発生したものであること,(2)使用者は,石綿の使用実態を明らかにしたり,健康被害の診断,被害発生時の対応等の措置をとることが可能であり,かつ,それが社会的にも期待されていること,(3)元労働者の退職後長期間が経過しているが,石綿関連疾患は非常に長い潜伏期間があって,業務上の石綿暴露の可能性が指摘されてから短期間で団体交渉の申入れがされていることなど判示の事情の下では,元労働者は労組法7条2号の「使用者が雇用する労働者」に当たり,使用者には団体交渉応諾義務がある。

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