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下級裁裁所 裁判例速報

事件番号

 平成18(ネ)806

事件名

 建物明渡等請求控訴事件

裁判年月日

 平成19年2月1日

裁判所名・部

 福岡高等裁判所  第3民事部

結果

 棄却

原審裁判所名

 福岡地方裁判所

原審事件番号

 平成17(ワ)1215

原審結果

 その他

判示事項の要旨

 1 不動産業などを営むXは,テナントビルを買い受け,ビル内のテナントとの賃貸借契約を承継した。そのビルのテナントで,不動産業,広告請負業などを営む会社であるYは,借りている貸室を,関連会社のA社に使用させていたところ,A社が,その貸室の一部を,風俗営業を営む関連会社もしくは顧客のために,風俗嬢に対する性病検査等のために使用させた。その期間は2年余りに及び,延べ1000人以上が出入りした。
2 Xは,これは使用目的違反であり,これが分かれば,Xの企業イメージに重大な打撃があり,手掛けている無洗米という商品の販売も致命的な影響を受けるとして,直ちにYとの賃貸借契約を解除し,貸室の明渡しなどを求めた。これに対して,Yは,貸したのはA社が顧客から頼まれて,やむなく貸室のごく一部を月1回,1回につき2,3時間無償で貸しただけである,実施されていた採血作業等は,従業員に対する健康診断と変わることはない,などと反論した。
3 本判決は,A社の行為はYの行為と同視できるとした上で,身近な場所で,多数の風俗嬢の性病検査に必要な血液や検体が採取されることは一般人に強い警戒感や忌避の感情を喚起する(その検査を従業員に対する健康診断とは同視出来ない。)から,その使用目的違反の程度は重大かつ悪質である,Xは,その事実を知って黙認していた訳でもないし,他のテナントから苦情やクレームが出なかったことも,Yにとって有利な事情とはいえないとして,Yに貸室の明渡しなどを命じた原判決を維持した。

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