裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
平成19(行コ)28
- 事件名
損害賠償請求履行請求控訴事件
- 裁判年月日
平成20年3月26日
- 裁判所名・部
福岡高等裁判所 第4民事部
- 結果
その他
- 原審裁判所名
長崎地方裁判所
- 原審事件番号
平成18(行ウ)9
- 原審結果
その他
- 判示事項の要旨
本件は,長崎県西彼杵郡の5町が合併し,長崎県西海市となった際,うち合併前の一の町の臨時職員であった60名に対し,退職慰労金を支給したことが,地方自治法及び地方公務員法に違反する違法なものであるとして,旧町の住民らが,合併後の市長に,合併前の旧町長に対し,損害賠償を請求するよう求める住民訴訟であるが,(1)同町長のした本件退職慰労金支給は,例え内規に当該支給に関する定めがあったとしても,給与条例主義に違反して違法なものであり,(2)地方公共団体の長がその支出を行うに当たり,関係法令の規定を調査し,これに従って違法な支出を行わないようにする義務があるのであるから,旧町長には本件支出についてこの義務に違反した過失があり,(3)旧町は本件退職慰労金支給額に相当する地方公共団体の財産を失ったことは明らかであって,合併後の市は,旧町について生じた損害賠償請求権を承継したとして,合併後の市長に対し,合併前の旧町長に対する損害賠償を請求すべき旨命じた事例。なお,合併後の市長は,第1審において,住民らの主張する退職慰労金支給のすべてについて旧町の支出であることを争わなかったが,控訴審において,その一部が真実に合致しておらず,自白は錯誤に基づくとして自白の撤回を主張したところ,これを認め,合併後の市長が請求すべき損害賠償額から,同撤回に相当する額を控除した。
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