裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
平成20(ネ)727
- 事件名
死亡共済金等請求控訴事件
- 裁判年月日
平成20年12月19日
- 裁判所名・部
福岡高等裁判所 第4民事部
- 結果
棄却
- 原審裁判所名
長崎地方裁判所 佐世保支部
- 原審事件番号
平成19(ワ)83
- 原審結果
その他
- 判示事項の要旨
共済契約者(兼被保険者)は,控訴人農協及び同連合会との間で,被保険者本人を死亡共済金等の受取人とする共済契約を締結していたが,被保険者が末期がんであることが判明したことから,死亡共済金の受取人を被保険者とは姓が異なる被控訴人(被保険者の内縁の妻)に変更するための関係書類を,被控訴人の代書により作成し送付したところ,控訴人農協から,これを被保険者本人の自署で書き直すよう指示されたが,被保険者は自署する間もなく死亡した。控訴人農協は,被保険者の唯一の法定相続人である同人の長男に,同共済契約に基づく死亡共済金等を支払ったが,被保険者の内縁の妻であった被控訴人が,控訴人農協及び同連合会に対して,同契約における死亡共済金等の支払を求めた。
原審は,被保険者の病状経過,同人と控訴人農協の担当者との電話によるやり取りの経過,これに基づく関係書類の交付状況等の事実にかんがみて,死亡共済金等受取人変更の申請書類等に本人の自署がなくとも,被控訴人の代書による本件変更通知書等の送付により,同受取人変更について対抗要件を充足させたものと認められるし,共済契約の規定が自署による作成までも要求しているとはいえず,上記経緯によれば,代筆とはいえ,本件変更通知書等が真正に作成されたと認められるとして,被控訴人の請求を認容した。控訴人らは,これを不服として控訴したが,控訴審も原審の判断を維持した。また,控訴人らは,控訴審において,被保険者の相続人への共済金支払に過失はなく,同人への弁済は有効であると民法478条の債権の準占有者に対する弁済を主張したが,控訴審は,前記のとおり,被控訴人が受取人変更を控訴人らに対抗し得る要件を具備しているのであるから,被保険者の相続人への弁済をもって準占有者に対する弁済とはいえないとして,この主張を退けた。
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