裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
平成28(ネ)2542
- 事件名
地位確認等請求控訴事件
- 裁判年月日
平成29年7月12日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第7民事部
- 結果
- 原審裁判所名
大阪地方裁判所
- 原審事件番号
平成26(ワ)11023
- 原審結果
- 判示事項の要旨
1 本件は,①被控訴人である東海旅客鉄道株式会社は,大阪府内に東海道新幹線a車両基地(a基地)を設置している,②a基地の敷地(a基地土地)は,大阪府茨木市と摂津市に跨がる(大部分摂津市内)広大な土地である,③控訴人である摂津市と被控訴人は,環境保全を目的とし,a基地土地全体を対象として,土地内での被控訴人の不作為義務(環境被害をもらたす可能性のある行為をしてはならないこと)を取り決める内容の環境保全協定(本件協定)を合意し,覚書(本件覚書)を交わしている,④本件協定及び本件覚書は,a基地土地内で,被控訴人が地下水を汲み上げることを禁止する条項を含んでいる,との事実関係において,控訴人が,被控訴人に対し,a基地土地内の茨木市域部分で地下水を汲み上げる行為の差止めを求めた事案である。
2 原審は,本件協定及び本件覚書の合意は,a基地土地のうち茨木市域部分で被控訴人が行う行為にまで及ばない,あるいは,合意された不作為義務は履行強制を予定したものではないと解釈し,控訴人の請求を棄却したが,本判決は,本件協定及び本件覚書が合意した不作為義務は茨木市域部分にも及ぶと判断した(本判決主文2項)。ただし,本判決は,本件協定第8条は,地下水の汲上げを一律に禁止した規定ではなく,地下水の保全及び地域環境を損ねる具体的な危険性があると認められる場合に限りこれを禁止した規定であると解するのが相当であり,被控訴人が計画している2本の井戸から地下水を汲み上げること(本件計画)について,地盤沈下などの地下水の保全及び地域環境を損ねる具体的な危険性があると認めることはできないとして,控訴人の差止請求自体は棄却した(本判決主文3項)。
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