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下級裁裁所 裁判例速報

事件番号

 平成29(行コ)60

事件名

 補助金不交付処分取消等請求控訴事件

裁判年月日

 平成30年3月20日

裁判所名・部

 大阪高等裁判所  第9民事部

結果

 棄却

原審裁判所名

 大阪地方裁判所

原審事件番号

 平成24(行ウ)197

原審結果

 棄却

判示事項の要旨

 1 大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定及び大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に基づいて交付される補助金の不交付決定は,いずれも抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらない。
2 各種学校を設置する準学校法人である控訴人が前記1の各要綱の交付対象要件を充足すると主張して,これら要綱に基づく補助金の交付を受けられる地位にあることの確認を求める訴えは,補助金交付の要否をめぐる問題を解決するための適切な手段であるから,確認の利益を肯定することができる。
3 被控訴人大阪府が,大阪府私立外国人学校振興補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,①生徒に対し,幼稚園教育要領,小学校・中学校・高等学校学習指導要領(学校教育法施行規則38条,74条,84条)に準じた教育を行っていること,②私立学校法35条1項(同法64条5項において準用する場合を含む。)に規定する理事及び監事が特定の政治団体(公安調査庁が公表する直近の「内外情勢の回顧と展望」において調査等の対象としている団体。ただし,政治資金規正法3条2項にいう政党を除く。)の役員を兼務していないこと,③学校法人が特定の政治団体への寄附又は特定の政治団体からの寄附の受入れをしていないこと,④特定の政治団体が主催する行事に,学校の教育活動として参加していないこと,⑤政治指導者の肖像画を教室等に掲示していないことを求める旨の改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人が上記④を充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。
4 被控訴人大阪市が,大阪市義務教育に準ずる教育を実施する各種学校を設置する学校法人に対する補助金交付要綱に補助金の交付対象要件として,大阪府私立外国人学校振興補助金の交付を受けることが見込まれることを付加する改正をし,各種学校を設置する準学校法人である控訴人がこれを充足しないことを理由として,上記補助金を不交付としたことは,憲法13条,14条,23条,26条,経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約2条,13条,市民的及び行政的権利に関する国際規約26条,あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約,児童の権利に関する条約3条,教育基本法16条1項,14条2項,私立学校法1条に違反するものではなく,裁量の逸脱・濫用はないし,交付対象要件の適用にも誤りはない。

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