裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
平成31(ネ)535
- 事件名
損害賠償等請求控訴事件
- 裁判年月日
令和2年2月4日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第3民事部
- 結果
- 原審裁判所名
大阪地方裁判所
- 原審事件番号
平成27(ワ)6338
- 原審結果
- 判示事項の要旨
1 第二次世界大戦中,日本国により中国から日本に強制連行され,日本各地の事業場で強制労働に従事させられたことを原因とする控訴人らの被控訴人に対する慰謝料請求を,最高裁平成19年4月27日第二小法廷判決の考え方に則り,日中共同声明5項によって裁判上訴求する権能を失ったとした原判決の判断は,相当である。
2 強制連行・強制労働という先行行為があったとしても,戦後,侵害の回復という作為義務(とりわけ,金銭支払義務)が別個に生ずるとはいえず,その不履行が別個独立の損害賠償請求権の発生根拠となることはない。
3 昭和29年から昭和35年にかけての国会における外務省アジア局長及び内閣総理大臣の答弁は,具体的な事実を摘示したものではなく,それ自体で被害者らの社会的評価を低下させたとは認められないから,いずれも被害者らに対する名誉棄損とはならない。