裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
令和2(ワ)3023
- 事件名
遺言無効確認請求事件
- 裁判年月日
令和3年9月24日
- 裁判所名・部
札幌地方裁判所
- 結果
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審結果
- 判示事項の要旨
【事案の概要】
遺言者の二男である原告が,ワープロ打ちにより作成されているにもかかわらず署名押印がない財産目録を添付した遺言者の自筆証書遺言は無効であると主張して,遺言執行者,遺言者の妻又は長男である被告らに対し,当該遺言が無効であることの確認を求める事案。
【要旨】
自筆証書遺言において,自筆証書に添付された財産目録の毎葉に署名押印がなく,当該目録自体は民法968条2項後段所定の方式を欠いて無効となる場合であっても,当該目録が付随的・付加的意味をもつにとどまり,その部分を除外しても遺言の趣旨が十分に理解され得るときには,当該自筆証書遺言の全体が無効となるものではない。
本件の財産目録には,生命保険,預貯金及び国庫債券が記載されているにすぎないところ,生命保険の記載はその権利の帰属を左右するものではなく,いわば無益的記載というべきものであり,預貯金及び国庫債券については,遺言書の本文部分において個別具体的に引用・参照されることはなく,ただ包括的に,生命保険以外の金融資産については相続人の法定相続分の割合で相続させると記載されているにすぎないなどの事情の下では,当該目録は,付随的・付加的意味をもつにとどまり,これを除外しても遺言の趣旨が十分に理解され得るのであるから,当該目録が署名押印を欠いて無効となるからといって,遺言書の全体が無効となるものではない。