裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
令和3(ネ)228
- 事件名
損害賠償請求控訴事件
- 裁判年月日
令和4年2月22日
- 裁判所名・部
大阪高等裁判所 第5民事部
- 結果
その他
- 原審裁判所名
大阪地方裁判所
- 原審事件番号
平成30(ワ)8619
- 原審結果
- 判示事項の要旨
1 旧優生保護法4条ないし13条は、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由及び意思に反して身体への侵襲を受けない自由を明らかに侵害するとともに、特定の障害等を有する者に対して合理的な根拠のない差別的取扱いをするもので、明らかに憲法13条、14条1項に反して違憲である。したがって、それら規定の立法行為は国家賠償法上違法である。
2(1)旧優生保護法の優生思想や優生手術に関する文言・規定は、平成8年6月に成立した改正法により廃止された。除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、控訴人らのいずれについても、上記法律の施行日前日である同年9月25日といえる。
(2)控訴人らによる本件訴訟の提起の時点では、上記起算点から20年が経過していたが、旧優生保護法の規定による人権侵害が強度である上、憲法の趣旨を踏まえた施策を推進していくべき地位にあった被控訴人が、旧優生保護法の立法及びこれに基づく施策によって障害者等に対する差別・偏見を正当化・固定化、更に助長してきたとみられ、これに起因して、控訴人らにおいて訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったことに照らすと、控訴人らについて、除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反する。時効停止の規定の法意に照らし、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境が解消されてから6か月を経過するまでの間、除斥期間の適用が制限されるものと解するのが相当である。
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