裁判例結果詳細
下級裁裁所 裁判例速報
- 事件番号
平成29(ワ)170
- 事件名
原爆被爆二世国家賠償請求事件
- 裁判年月日
令和5年2月7日
- 裁判所名・部
広島地方裁判所 民事第3部
- 結果
棄却
- 原審裁判所名
- 原審事件番号
- 原審結果
- 判示事項の要旨
1 いわゆる被爆二世である原告らにおいて、①被爆者援護法所定の被爆者等と同等の援護を受ける権利が憲法13条により保障され、②被爆二世と被爆者等とを差別的取扱いをすることは憲法14条1項に違反するから、被告には、被爆二世を援護の対象に含める法律の制定や改正を行う義務があるにもかかわらずこれを怠った(立法不作為)として、被告に対し、国家賠償法に基づく賠償を求めた事案につき、請求を棄却した事例
2 被爆二世である原告らが健康不安に対する措置を国に求める権利が憲法13条により保障されているとはいえないとされた事例
3 被爆者援護法が援護の対象とする原爆放射線に直接被曝した者(被爆者等)については健康被害が生じることには科学的な裏付けがあるのに対し、放射線被曝の遺伝的影響により健康被害が生じることについては、その可能性が明確に否定されてはいないものの、通説的見解や有力な見解となっておらず、被爆者等と被爆二世とでは、原爆放射線の影響を受けて健康被害が生ずる可能性がある者という広い意味では共通する部分があるが、その背景にある科学的知見の有無や精度には質的に大きく異なるものがあるから、被爆者等と同等の措置を被爆二世に行う立法的措置を講じないことは、直ちに合理的な理由のない不当な差別的取扱いであるとはいえず、憲法14条1項に違反するとはいえないとされた事例
4 国が被爆二世を援護の対象に含める法律の制定や改正をしていないことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例
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