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下級裁裁所 裁判例速報

事件番号

 令和2(ワ)278

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 令和5年11月22日

裁判所名・部

 札幌地方裁判所

結果

原審裁判所名

原審事件番号

原審結果

判示事項の要旨

 1 本件は、被告と期間の定めのある労働契約を締結して勤務した時給制契約社員である原告らが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者(以下「正社員」という。)と原告らとの間で、寒冷地手当の支給の有無に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの。以下同じ。)に違反するものであったと主張して、不法行為に基づき、各原告につき、支払われるべきであった寒冷地手当相当額の支払を求めた事案である。
2 裁判所は、要旨次のとおり判断した。
被告において支給されている寒冷地手当の主たる目的は、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、これらの一時的に増蒿する生活費を填補することを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的にあり、相応に継続的な勤務が見込まれる時給制契約社員にもこの趣旨は基本的に妥当する。
しかし、正社員の基本賃金が全国一律に定められていることから寒冷地手当は正社員間の衡平を図る趣旨を含んでいることは否定できないし、また、時給制契約社員の基本給は寒冷地であることに起因して増加する生活費が一定程度考慮されている。そうすると、時給制契約社員に対する寒冷地手当の支給の有無及び仮に支給するとした場合の金額については、被告の経営判断に委ねられているものといわざるを得ないから、正社員に対して寒冷地手当を支給する一方で、時給制契約社員に対してこれを支給しないという労働条件に相違があることは不合理であるとまではいえず、労働契約法20条に違反するとは認められないとして、原告の請求をいずれも棄却した。

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