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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)31

事件名

 裁決取消等請求事件

裁判年月日

 平成17年7月20日

裁判所名

 横浜地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 偽装結婚を手段とする不法入国,不法残留及び不法就労等を行っていたが,同居していた日本人と養子縁組を行い,同人との生活を続けることを希望して,不法残留事実を申告した中華人民共和国の国籍を有する者に対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に規定による異議の申出に理由がない旨の裁決の取消請求が,認容された事例

裁判要旨

 偽装結婚を手段とする不法入国,不法残留及び不法就労等を行っていたが,同居していた日本人と養子縁組を行い,同人との生活を続けることを希望して,不法残留事実を申告した中華人民共和国の国籍を有する者に対し,法務大臣から権限の委任を受けた入国管理局長がした出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)49条1項に規定による異議の申出に理由がない旨の裁決の取消請求につき,偽装結婚を手段とする不法入国,不法残留及び不法就労等の各行為は,動機,目的,態様等の個別,具体的な諸事情を適切に考慮すれば,在留特別許可を付与するかどうかの判断において,著しく不利な事情として評価されるべき事実であるということはできず,他方,在留特別許可を付与するかどうかの判断において,当該外国人が,それまでに日本において,健全な市民として平穏で安定した生活を送ってきたかどうか,将来も,同様の生活を送ることができる蓋然性が高いかどうかが,特に重視されるべきであり,そのことを示す事情として,当該外国人が,日本人と,相互の情愛や精神的な結びつきをもって真摯な養子縁組を行い,かつ,同居し,互いに扶け合って共同生活を送っているような場合には,外国人が日本人と婚姻関係を結んでいる場合と同様に,あるいはこれに準じて,重視されなければならないなどとして,判示の事情の下においては,入国管理局長がした在留特別許可を付与しないとの判断は,事実的基礎を欠くものであるか又は社会通念上著しく妥当性を欠くものであることは明らかであるとして,前記請求を認容した事例

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