裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成15(行ウ)24
- 事件名
行政処分取消請求事件
- 裁判年月日
平成17年6月22日
- 裁判所名
さいたま地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 墓地等の経営の許可の取消し等を規定する墓地,埋葬等に関する法律19条の「公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるとき」の要件と憲法31条 2 当該霊園の外周及び同霊園内を横断する土地を所有し,同霊園に係る墓地の経営の許可の取消処分を受けた甲が同処分の取消しを求める訴えととともにした,同処分の直後にされた同霊園内のその余の土地を所有する乙に対する同人所有地に係る墓地の経営の許可処分の取消しを求める訴えが,適法とされた事例
- 裁判要旨
1 墓地等の経営の許可の取消し等を規定する墓地,埋葬等に関する法律19条の「公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるとき」との要件について,同法は,墓地等の経営の許可,取消しの各要件を具体的に定めていないが,これは墓地等の経営が高度の公共性を有するとともに,国民の風俗感情,宗教活動,各地方の地理的条件等に依存する面を有し,一律的な基準による規則になじみ難いことにかんがみ,都道府県知事の広範な裁量にゆだねる趣旨に出たものと解され,また,さいたま市墓地,埋葬等に関する法律施行条例(平成13年5月1日条例第192号。平成16年12月27日条例第66号による改正前)は,墓地の経営者,設置場所,墓地等の施設の基準について一定の基準を定めており,同法19条所定の不利益処分が課される典型的場合は,経営者,墓地等の施設等の基準が前記条例等に定める基準に適合しなくなった場合と解され,前記要件は一応具体的に推測し得るから,同条が憲法31条に違反するとまではいえない。 2 当該霊園の外周及び同霊園内を横断する土地を所有し,同霊園に係る墓地の経営の許可の取消処分を受けた甲が同処分の取消しを求める訴えととともにした,同処分の直後にされた同霊園内のその余の土地を所有する乙に対する同人所有地に係る墓地の経営の許可処分の取消しを求める訴えにつき,乙に対する許可処分が取り消されることによって甲は乙所有地において墓地の経営許可を受け得る地位につくことになり,また,甲に対する前記取消処分が取り消されたにとどまるときは,甲と乙の2つの墓地の経営許可処分がされたことになり,行政庁はいずれかを取り消さざるを得なくなるが,後にされた乙に対する前記許可処分が当然に違法になり,取り消されるべきと解することはできないから,前記取消処分が取り消されれば,甲が満足するという関係にないから,甲には乙に対する前記許可処分の取消しを求める法律上の利益があるとして,前記訴えを適法とした事例
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