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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成13(行ウ)7

事件名

 障害基礎年金不支給決定取消等請求事件

裁判年月日

 平成16年10月28日

裁判所名

 新潟地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 大学在学中に事故によって障害を負いながら,国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたいわゆる学生無年金者が,20歳以上の学生を国民年金法の強制適用の対象から除外し,また,無拠出の障害福祉年金又は障害基礎年金を受給できる対象から除外していた各規定が憲法14条等に違反し無効であるなどとしてした同処分の取消請求が,棄却された事例 
2 大学在学中に事故によって障害を負いながら,国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたいわゆる学生無年金者が,20歳以上の学生を国民年金法の強制適用の対象から除外する規定を立法した点,その後同規定を改正しなかった点について,立法作為,不作為の違法があったなどとして,国に対してした国家賠償請求が,一部認容された事例

裁判要旨

 1 大学在学中に事故によって障害を負いながら,国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたいわゆる学生無年金者が,20歳以上の学生を国民年金法の強制適用の対象から除外し,また,無拠出の障害福祉年金又は障害基礎年金を受給できる対象から除外していた各規定が憲法14条等に違反し無効であるなどとしてした同処分の取消請求につき,昭和60年法律第34号による改正後の国民年金法7条1項1号イが,20歳以上の学生等を同法の強制適用の対象から除外したことにより,20歳以上の学生等とそれ以外の20歳以上の国民との間で生じた区別は,著しく不合理な差別で憲法14条1項に違反するとしても,そのような取扱いを受けた者に対し障害基礎年金の支給という社会保障施策を実現するには,新たな立法が必要であり,憲法違反の効果として直ちに障害基礎年金の支給が認められるものと解することはできないとした上,前記学生無年金者は同法30条及び30条の4の障害基礎年金の支給要件を満たさないのであるから,前記処分がなされたのはやむを得ず,前記処分に違法事由は存在しないとして,前記請求を棄却した事例 
2 大学在学中に事故によって障害を負いながら,国民年金に任意加入していなかったために障害基礎年金を支給しない旨の処分を受けたいわゆる学生無年金者が,20歳以上の学生を国民年金法の強制適用の対象から除外する規定を立法した点,その後同規定を改正しなかった点について,立法作為,不作為の違法があったなどとして,国に対してした国家賠償請求につき,昭和60年法律第34号による改正後の国民年金法7条1項1号イが,20歳以上の学生等を同法の強制適用の対象から除外したのは,20歳以上の学生等をそれ以外の20歳以上の国民と区別して,国民年金に任意加入しない限り,学生等である間に障害を負っても一切障害基礎年金が受給できないという不利益を負わせたものであり,これは20歳以上の学生等という社会的身分による著しく不合理な差別で憲法14条1項に違反することが明白であるとした上で,遅くとも昭和50年代中頃には同規定を改めるべきことが明らかになっていたにもかかわらず,昭和60年法改正当時において前記規定を削除する等の立法措置をしなかった点において,立法作為又は不作為の違法があり,同行為により学生の無年金障害者が年金を受給できない結果を招いたことにつき過失があるとして,前記請求を一部認容した事例 

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