裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成14(行コ)6
- 事件名
北海道旧土人共有財産等返還手続無効確認請求控訴事件(原審・札幌地方裁判所平成11年(行ウ)第13号)
- 裁判年月日
平成16年5月27日
- 裁判所名
札幌高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道長官ないし北海道知事が旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条1項の規定により又は同項に準じて管理していた財産について,北海道知事がした財産を返還するとの決定の無効確認及び取消しを求める各訴えにつき,いずれも法律上の利益がないとされた事例
2 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道庁長官ないし北海道知事が事実上管理するに至っていた旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条3項の規定による指定のない財産について,北海道知事がした財産を返還しないとの決定が,行政事件訴訟法3条に規定する「行政処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するとされた事例
3 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道長官ないし北海道知事が旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条1項の規定により又は同項に準じて管理していた財産について,北海道知事がした財産を返還しないとの決定の無効確認及び取消しを求める各請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道長官ないし北海道知事が旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条1項の規定により又は同項に準じて管理していた財産について,北海道知事がした財産を返還するとの決定の無効確認及び取消しを求める各訴えにつき,前記財産を返還するとの決定は,同決定の名宛人らの請求をすべて認めた有利な行政処分であり,同決定によって,同決定の名宛人らが不利益を受けたり,権利を侵害されたとは考えられないから,同決定の無効確認又は取消しによって回復すべき法律上の利益があるとは認められないとして,前記各訴えにつき,いずれも法律上の利益がないとされた事例
2 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道庁長官ないし北海道知事が事実上管理するに至っていた旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条3項の規定による指定のない財産(以下「指定外財産」という。)について,北海道知事がした財産を返還しないとの決定につき,返還請求権者は,実体法上当該指定外財産に対する権利を観念することができるとしても,返還請求権者の指定外財産に対する権利は,事実上,知事の決定により定まるということができ,知事の決定が,直接,返還請求者の指定外財産に対する権利に直接影響を及ぼしているということができるとして,行政事件訴訟法3条に規定する「行政処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当するとした事例
3 アイヌ文化の振興並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律(平成9年法律第52号,以下「アイヌ新法」という。)附則3条に基づく財産返還請求に対し,北海道長官ないし北海道知事が旧北海道旧土人保護法(明治32年法律第27号,平成9年法律第52号により廃止)10条1項の規定により又は同項に準じて管理していた財産について,北海道知事がした財産を返還しないとの決定の無効確認及び取消しを求める各請求につき,前記決定が違法か否かという問題を離れて,アイヌ新法附則3条あるいは同条に基づく具体的な返還手続の違憲性等の主張をすることは,抽象的に法令の解釈,適用を争うことに他ならないから,前記返還しない決定の無効の理由,あるいは取消事由の主張にはならないというべきであり,また,前記決定の名宛人らが各処分の対象財産の共有者であるか否かの判断は,共有財産の管理に関する法令をはじめ,共有財産として管理が開始された当時のアイヌの風俗や風習,各共有財産の管理の経緯など,様々な歴史的,文化的な知見をもとにして判断する必要があるから,アイヌ関係者,弁護士及び学識経験者を構成員とする審査委員会の結果は尊重されるべきであり,審査委員会の審査結果に不合理な点が認められない場合には,判断に違法があるとは認められないというべきであるところ,審査委員会の審査結果の認定あるいは推認の方法等において不合理な点は認められず,違法があるとは認められないとして,前記各請求をいずれも棄却した事例
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