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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成15(行ウ)2

事件名

 難民の認定をしない処分取消請求事件

裁判年月日

 平成16年5月14日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 トルコ共和国国籍を有する者からの難民認定申請に対し,法務大臣がした難民の認定をしない旨の処分の取消請求が,処分理由の通知に瑕疵があったとして,認容された事例

裁判要旨

 トルコ共和国国籍を有する者からの難民認定申請に対し,法務大臣がした難民の認定をしない旨の処分の取消請求につき,出入国管理及び難民認定法(平成16年法律第73号による改正前)61条の2第3項が,難民の認定をしない旨の処分をした場合に,「理由を付した書面」をもって通知することを定めているのは,処分の理由を明確にすることによって処分権者の判断の慎重・合理性を担保するとともに,被処分者に処分の理由を明示することによって,不服申立ての便宜を与える目的を有するものであるから,同項は,単なる訓示規定ではないと解すべきであり,理由を付記した書面をもって被処分者への通知がされていない場合には,そのこと自体が処分の違法事由となり得るものであって,独立の取消原因たり得るとした上,前記処分においては,被処分者に通知する際に,通知書添付の別紙の取り違えにより,同条2項規定の要件(60日要件)の不充足という真実の処分理由が同人に通知されず,これとは性質・内容が大きく異なる難民要件の不充足という理由が通知されており,処分権者の判断の慎重・合理性が図られていない上,処分の理由が全く示されていない場合以上に,被処分者による不服申立てをするか否かの判断とその手続及び準備に多大な支障が生じ得るというべきであるから,同条3項に明らかに違反するものであって,この手続的瑕疵は,極めて重大であり,同処分の取消事由に当たるというべきであり,また,処分理由の追完ないし瑕疵の治癒は認められないとして,前記請求を認容した事例

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