裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成15(行ウ)44
- 事件名
公金支出差止等請求事件
- 裁判年月日
平成16年4月28日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 普通地方公共団体においてする目節間における予算の流用
2 市議会により翌年度へ繰越明許費として繰り越すことを計上した予算案を否決された再開発事業に係る都市計画に関する図書作成業務委託料及びまちづくり整備計画作成業務委託料について,翌年度の予算において同一目内の節と節の間で流用した上で支出命令をしたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に支出した委託料相当額の損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 地方自治法上,目節の間において予算を流用することは禁止されていないが,その流用も無制約に許されると解すべきではなく,普通地方公共団体の長が,普通地方公共団体の経費につき,議会が当該事業の実施を否定して予算から削除した事業の費途に充てることを目的として,予算流用の方法を用いてする予算執行は,議会に与えられた予算議決権を一部空洞化させ,議会による予算統制を定めた地方自治法の趣旨に反するとともに,普通地方公共団体の長が当該目節の区分に従って歳入歳出予算を執行するための手続を設けた趣旨にも反するものであるから違法であり,前記目的をその目的とする財務会計行為も同様に違法である。
2 市議会により翌年度へ繰越明許費として繰り越すことを計上した予算案を否決された再開発事業に係る都市計画に関する図書作成業務委託料及びまちづくり整備計画作成業務委託料について,翌年度の予算において同一目内の節と節の間で流用した上で支出命令をしたことが違法であるとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,市長個人に支出した委託料相当額の損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求につき,前記支出命令は,前記の予算流用後の経費を市議会がその実施を否定して予算から削除した前記各委託料の費途に充てる目的でされたものであるから違法であるが,市の財政状況から前記再開発事業の実施が不可能であると認めるに足る証拠はないことなどから,前記再開発事業の実施が不可能であって,前記支出命令の基礎となった契約の成果物として受領した調査報告書等が同市にとって不要なものであるということはできず,当該報告書は前記支出命令により支出した委託料に見合うものであるから,市に損害が発生したと認めることは困難であるとして,前記請求を棄却した事例
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