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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成10(行ウ)9

事件名

 取水等許可処分取消請求事件

裁判年月日

 平成16年3月26日

裁判所名

 長野地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 建設大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が河川法に基づき株式会社に対し発電用に河川及び湖からの取水を許可した処分の取消しを求める訴えにつき,同河川について漁業権を有する漁業組合の組合員らには,取消しを求める訴えの利益がないとされた事例
2  建設大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が河川法に基づき株式会社に対し発電用に河川及び湖からの取水を許可した処分の取消しを求める訴えにつき,前記処分により自然享有権,環境権を侵害されたと主張する周辺住民らの原告適格が否定された事例

裁判要旨

 1 建設大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が河川法に基づき株式会社に対し発電用に河川及び湖からの取水を許可した処分の取消しを求める訴えにつき,同河川について漁業権を有する漁業組合は,同法の関係河川使用者に該当するところ,同組合の組合員らは,同組合の共同漁業権の範囲内において漁業を営む権利を有するから,一般的には原告適格が認められるが,前記漁業権設定の際には,既に,前記処分より取水制限等の制約が小さい取水許可処分(以下,「先行処分」という。)が存在していたから,同漁業権は先行処分を前提とした権利といえるところ,前記処分は,先行処分よりも河川の流況を改善させるものであるから,同漁業権を法律上制約するものとはいえず,同人らにとって不利益な処分ではないとして,前記組合員らにはその取消しを求める訴えの利益がないとした事例
2 建設大臣(平成11年法律第160号による改正後は国土交通大臣)が河川法に基づき株式会社に対し発電用に河川及び湖からの取水を許可した処分の取消しを求める訴えにつき,自然享有権,環境権は,これらを具体的な権利として認めるべき実定法上の根拠がなく,帰属主体,要件,効果等が不明確であるから権利として未成熟であり,河川法が水性動植物等の生存繁殖をも目的としているとしても自然享有権,環境権を個々人の個別的利益として保護していると解すべき余地はないとして,前記処分により自然享有権,環境権を侵害されたと主張する周辺住民らの原告適格を否定した事例 

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