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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成14(行ウ)117

事件名

 損害賠償請求事件(住民訴訟)

裁判年月日

 平成16年3月4日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,府知事を被告として,府の売買契約履行差止請求の訴えを出訴期間内に提起し,同契約が履行されたため,同項4号に基づき,府知事個人を被告として,前記売買契約の履行による府の損害の賠償を求める訴え(新訴)を前記期間経過後に提起し,口頭弁論が併合された後,前記差止請求に係る訴えを取り下げたという場合に,前記損害賠償請求に係る訴えを当初の差止請求に係る訴えの提起時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情が認められるとした事例 2 府が市町村職員共済組合を相手方として,随意契約の方法により営業が終了したホテルの敷地として利用されていた府の所有する土地を売却し,これを引き渡したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,府知事個人に対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 府の売買契約の締結が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項1号に基づき,府知事を被告として,同契約履行の差止請求の訴えを出訴期間内に提起し,同契約が履行されたため,同項4号に基づき,府知事個人を被告として,前記売買契約の履行による府の損害の賠償を求める訴え(新訴)を前記期間経過後に提起し,口頭弁論が併合された後,前記差止請求に係る訴えを取り下げたという場合に,前記両請求は,行政事件訴訟法13条所定の関連請求に当たると解されるから,原告は,前記差止請求を基本事件として,新訴を追加的に併合して提起することができたものと考えられ,実際にも追加的併合が行われた場合と全く同様の審理が行われていたことから,新訴の出訴期間遵守の有無については,追加的併合の場合と同様に取り扱うのが相当であるとした上,前記両請求は,前記契約の履行前後の各段階において,同契約の締結及び履行という同一の財務会計上の行為を問題とするものであり,その違法性に関する争点も同一であったと認められるから,両請求は,段階的に連続しており,実質的関連性を有するものといえ,前記契約履行前は,府知事個人を被告として損害賠償請求をすることはできなかったという事情があり,府知事個人は,現実には,前記差止請求事件においても府知事の地位にあり,訴訟追行に当たっており,契約が履行された場合には,損害賠償請求がされることは十分予想できたといえるから,前記損害賠償請求を当初の差止請求に係る訴えの提起時に提起されたものと同視し,出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情が認められるとした事例 2 府が市町村職員共済組合を相手方として,随意契約の方法により営業が終了したホテルの敷地として利用されていた府の所有する土地を売却し,これを引き渡したことが違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,府知事個人に対してされた損害賠償請求につき,府は,同地の所在する地区を産業振興拠点として位置付け,同地に新たなホテル機能を有する施設を誘致して,同地区における展示会,国際会議等に対する飲食,宿泊等の提供機能を確保するという政策判断を有しており,特定の相手方を選定してその者との間で契約を締結するのが,同政策の遂行上,利点があると見込まれ,妥当であると判断したものと認められ,それには十分首肯するに足りる理由があるというべきであることなどからすると,府が当該契約をもって地方自治法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に適しないもの」に該当すると判断したことに合理性を欠く点があるということはできず,随意契約の方法によって当該契約を締結したことに違法はないとして,前記請求を棄却した事例

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