裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成15(行コ)180
- 事件名
公文書非開示処分取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成13年(行ウ)第106号)
- 裁判年月日
平成15年11月13日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 官用自動車の適切な管理を目的として自動車運転手が作成し,自動車の管理責任者である総務課長に対して報告する文書である自動車運行管理簿に記載された自動車運転手の氏名及び印影部分が,不開示情報の除外事由である行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条1号ただし書ハ及びイに該当しないとされた事例
2 官用自動車の適切な管理を目的として自動車運転手が作成し,自動車の管理責任者である総務課長に対して報告する文書である自動車運行管理簿に記載された自動車の車両番号部分が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条4号所定の不開示情報(公共秩序維持情報)に該当するとされた事例
3 アルバイト職員の人事管理及び勤務状況の記録のための基本簿書であり,かつ給与支給上の基本簿書として各人ごとに毎月作成されるアルバイト出勤簿に記載された情報のうち,「所属」欄,「発令時間」欄,「勤務時間数の計算」欄及び「交通費」欄に記載された情報について,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)6条2項に基づく部分開示すべき場合に当たるとされた事例
- 裁判要旨
1 官用自動車の適切な管理を目的として自動車運転手が作成し,自動車の管理責任者である総務課長に対して報告する文書である自動車運行管理簿に記載された自動車運転手の氏名及び印影部分につき,行政機関の保有する法律(平成13年法律第140号による改正前)5条1号ただし書ハは,同号により原則不開示とされる個人に関する情報のうち「当該公務員の職」及び「公務員の職務の遂行の内容」については,不開示情報の除外事由とするところ,自動車運転手の氏名及び印影部分は,運転手の具体的氏名を識別可能とする情報であり,自動車運転手という職に係る情報ではなく,自動車運転手の職務の内容に係る情報でもないから,同号ただし書ハに該当せず,また,同号ただし書イは,法令の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報を不開示情報の除外事由とするところ,市販されている職員録,便覧等の刊行物に前記運転手の氏名の記載はないから,前記部分は同号ただし書イに該当しないとした事例
2 官用自動車の適切な管理を目的として自動車運転手が作成し,自動車の管理責任者である総務課長に対して報告する文書である自動車運行管理簿に記載された自動車の車両番号部分につき,前記自動車は,現金や小切手の搬送,税務署幹部等の移動及び送迎,調査先への移動等の調査事務,差押物件の搬送等の徴収事務に使用されているところ,前記自動車の車両番号を一般に公にした場合,それにより知り得た車両番号をよりどころとして,運搬中の現金や小切手,差押物件等を狙った犯罪行為,税務署幹部等に対する威圧を目的とした不法な侵害,調査等の妨害を目的とした犯罪行為が誘発されたり,容易になったりすることから,公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるとして,前記情報が,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(公共秩序維持情報)5条4号所定の不開示情報(公共秩序維持情報)に該当するとした事例
3 アルバイト職員の人事管理及び勤務状況の記録のための基本簿書であり,かつ給与支給上の基本簿書として各人ごとに毎月作成されるアルバイト出勤簿に記載された情報につき,行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号による改正前)6条2項にいう同法5条1号の情報とは,個人に関する情報であって,開示された情報と一般人が容易に入手し得る情報と組み合わせると特定の個人が識別される場合も含むが,当該個人と特別に関係のある者のみが有している情報と組み合わせることにより特定の個人が識別される場合までは含まないと解されるところ,前記情報のうち,氏名欄及び押印欄のうち印影の氏名を表す部分については,特定の個人を識別できる情報に当たるものの,押印欄の前記以外の部分,所属欄,発令時間欄,勤務時間数の計算欄及び交通費欄に記載された情報は,いずれも各欄に記載された情報を開示しても一般人が特定の個人を識別することは難しく,同情報を公にしても個人の権利利益が害されるおそれはないとして,同法6条2項により部分開示すべき場合に当たるとした事例
- 全文