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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成10(行コ)8

事件名

 損害賠償請求控訴事件(原審・広島地方裁判所平成元年(行ウ)第9号)

裁判年月日

 平成15年7月29日

裁判所名

 広島高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が株式会社と随意契約の方法により締結した町内清掃等に係る汚土収集運搬業務の委託契約に基づく委託料の支払が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,前記会社及びその実質的代表者並びに当時の市長及び助役各個人に対してした損害賠償請求が,いずれも一部認容された事例

裁判要旨

 市が株式会社と随意契約の方法により締結した町内清掃等に係る汚土収集運搬業務の委託契約に基づく委託料の支払が違法であるとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき,市に代位して,前記会社及びその実質的代表者並びに当時の市長及び助役各個人に対してした損害賠償請求につき,(1)市は,前記契約で対象とされた,清掃作業によって排出された汚土等以外の物件(区域内の一般廃棄物や不法投棄物)を処理する義務のある場合があるとしても,別途検討作業,決裁,予算の承認の手続を経るべきであり,前記物件や不法投棄物を前記契約対象物に含めて前記契約に基づき収集運搬することは,これらの検討作業や必要な手続を潜脱し,廃棄物処理法の趣旨にも反することとなり許されず,(2)前記業務に関する事前の指示書は,個々具体的に業務内容を指示するというにとどまらず,支出すべき委託料の金額を確定する際の基礎的な資料となり,また,前記株式会社による恣意的な搬入を防止し,前記契約が適正に履行されることを確保するための重要な手続上の資料というべきであり,市の担当者としては,目測と実際の搬入に必要な車両台数との間にそごがあれば再度現場確認をした上で,更に発注すべきなのであって,こうした手続を経ず,事前に指示した車両台数を超えてされた収集運搬は履行手続に反するものであって違法であり,(3)前記業務の内容は代替性のある単純作業であり,前記株式会社以外の汚土収集運搬業務の遂行可能な廃棄物処理業者による競争入札の方法により汚土収集運搬委託契約を締結することは可能であったというべきであり,前記契約においては,まさに随意契約によった結果としての種々の弊害が明らかになっていることからすれば,前記株式会社を相手方として選定し,前記契約を随意契約の方法により締結したことは,その裁量権を逸脱又は濫用したものというべきであり,違法であって,前記契約は無効であるとし,さらに,損害額については,前記各違法行為の結果,市が利益を得,又は支出を免れることによって利得をしている額につき損益相殺をした上で,前記各請求をいずれも一部認容した事例

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