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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成13(行ウ)23

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成15年7月24日

裁判所名

 仙台地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 町が非常勤特別職職員に対し,報償費から特別謝礼金を支出することが違法であるとされた事例 
2 地方公務員法3条3項3号の特別職職員(嘱託員)に対して支給する報酬の額を,予算の範囲内において任命権者が町長と協議して定めることができるとする町の条例に基づき,非常勤特別職職員への特別謝礼金を支出したことが,違法であるとされた事例

裁判要旨

 1 町が非常勤特別職職員に対し,報償費から特別謝礼金を支出することは,条例で定める報酬額では評価しきれない勤務時間外の勤務について報償するためであるとしても,非常勤職員に対する報酬等を条例で定めなければならず,いかなる給付も法律又はそれに基づく条例に基づかないで支給することを禁じている地方自治法203条5項,204条の2を潜脱するおそれがあり,報償費の支出の要件を満たさないとして,違法であるとした事例 
2 地方公務員法3条3項3号の特別職職員(嘱託員)に対して支給する報酬の額を,予算の範囲内において任命権者が町長と協議して定めることができるとする町の条例に基づき,非常勤特別職職員に対し特別謝礼金を支出したことにつき,前記条例は,当該報酬額を定めるに当たって,当該職員の仕事の内容,別表に規定されている非常勤特別職職員の報酬額との均衡,同種の仕事を行う常勤の職員の給与との均衡等を考慮することを当然の前提としているものと考えられるから,委任立法として許されないものではないが,当該非常勤特別職職員の募集要項に,月額報酬に加えて,年3回の特別賞与が支給される旨が記載され,実際にも,一般職職員に対する期末手当支給日に前記特別賞与が支給されているという事実の下では,前記非常勤特別職職員への特別謝礼金は,報酬としてではなく,一般職職員の期末手当に相当するものとして支出されたものと認められるところ,議会の議員を除く普通地方公共団体の非常勤職員に対して期末手当を支出することは認められていない(地方自治法203条4項,5項,204条の2)から,前記条例による任命権者と町長との協議がされていたとしても,当該協議のうち特別謝礼金の支給の部分は,条例の委任の範囲を超えた無効なものであるとして,前記特別謝礼金の支出を違法であるとした事例

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