裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成14(行コ)7
- 事件名
課税処分取消請求控訴事件(原審・盛岡地方裁判所平成13年(行ウ)第2号)
- 裁判年月日
平成14年10月31日
- 裁判所名
仙台高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 地方税法(平成11年法律第222号による改正前)348条4項にいう「農業協同組合法による組合」の意義
2 肉牛の飼育を営んでいる農事組合法人に対する固定資産税賦課決定について,同法人の所有する畜舎や堆肥舎は固定資産税の課税対象となる地方税法(平成16年法律第124号による改正前)341条3号にいう「家屋」に該当しないとしてされた取消請求が,棄却された事例
- 裁判要旨
1 農業協同組合と農事組合法人は農業協同組合法の文言上も明確に区別されているから,特段の規定のない以上,地方税法(平成11年法律第222号による改正前)348条4項所定の「農業協同組合法による組合」の内容も同様に解すべきであることに加え,同項は一定の公益性が認められる団体の公益性に着目して,特に固定資産税を課税しないことを定めた趣旨であると解されるところ,農業協同組合は公益性の強い団体であるということができるが,農事組合法人は,農民個人の集合体であって小規模な組織であることが多く,事業の内容は農業経営などの生産事業であり,農業協同組合と比較すると,その公益性の程度に明らかな差異が認められることから,農事組合法人は同項にいう「農業協同組合法による組合」に当たらない。
2 肉牛の飼育を営んでいる農事組合法人に対する固定資産税賦課決定について,同法人の所有する畜舎や堆肥舎は固定資産税の課税対象となる地方税法(平成16年法律第124号による改正前)341条3号にいう「家屋」に該当しないとしてされた取消請求につき,不動産登記法上の「建物」の意義について,不動産登記事務取扱準則は,土地の定着性,外気遮断性,用途性を一応要求してはいるものの,少なくとも周壁については,必ずしも完全な外気遮断性があることまでを要求するものではなく,その建築物の用途や利用状況を勘案して,完全な周壁を設けないことがその建造物の効用上合理的であると認められる場合は,要件を緩和して認定することを妨げない趣旨であると解するのが相当であり,同号にいう「家屋」の解釈に当たっては,前記準則の趣旨に加えて社会通念上家屋と認められるか,構造及び規模等の点において一般家屋との権衡を失していないかなどの点も併せて考慮の上,「家屋」に該当するか否かを判断するのが相当であるとした上,前記農事組合法人の所有する畜舎及び堆肥舎は,通気性や運搬上の必要性から完全な遮断性を有していなかったり,一方の周壁が設けられていなかったりするものの,それらはそれぞれの用途に照らし合理的なものであり,いずれも資産価値が相当に高いものと認められることや一般家屋との権衡からしても課税客体とすべきものであることから,それぞれ同号にいう「家屋」に当たるとして,前記請求を棄却した事例
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