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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成12(行ウ)45

事件名

 条例無効確認請求事件(以下「甲事件」という。)平成12年(行ウ)第55号 条例無効確認請求事件(以下「乙事件」という。)平成13年(行ウ)第98号 損害賠償請求事件(追加的併合事件。以下「丙事件」という。)

裁判年月日

 平成14年2月14日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 分譲マンションの建設等を業とする会社が,国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)のうち,建築物の高さの最高限度を20メートルとする部分は違法であるとして,その無効確認又は取消しを求めた訴えが,訴えの利益を欠くとされた事例 2 分譲マンションの建設等を業とする会社が,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前)20条に基づき告示された市の地区計画,及び国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)の制定により損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づいてしたその賠償請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 分譲マンションの建設等を業とする会社が,国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)のうち,建築物の高さの最高限度を20メートルとする部分は違法であるとして,その無効確認又は取消しを求めた訴えにつき,いかなる訴訟類型によるにせよ,同条例が一般的に無効であることの確認を求めるものであるとすれば,具体的争訟性を欠く不適法なものであり,また,同条例に違反することとなることに伴う何らかの不利益処分が行われるのを防止するために,同条例の無効をあらかじめ確定しておく趣旨のものであるとしても,同社の建築する建物に対して同条例が適用され,違法建築であるとして建築基準法9条1項による是正命令権限が行使されたり,将来における同建物の建替え等の際に建築確認申請等に対する拒否処分がされたりした場合に,それらの効力を争う中で同条例の効力を問題とすれば足り,現段階においては,是正命令権限が行使されることが確実とは認められず,その他,同条例の制定により同社が経済的不利益を受けて倒産の危機に直面しているなど,不利益処分を待って同条例の効力を争ったのでは回復し難い重大な損害を被るおそれがある等の特段の事情があるとはいえないとして,前記訴えを却下した事例 2 分譲マンションの建設等を業とする会社が,都市計画法(平成11年法律第87号による改正前)20条に基づき告示された市の地区計画,及び国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例(平成12年国立市条例第1号)の制定により損害を被ったとして,国家賠償法1条1項に基づいてしたその賠償請求につき,前記地区計画の決定及び条例の制定は,同市が景観保持の観点から同社による建物建築計画を阻止するためにされたものであるが,一般に,景観保持の観点から新たな法規制をする際にはその規制内容が適正なものか否かに加えて,その規制が既存の権利者にいかなる影響を及ぼすかを慎重に検討することが必要であるとした上で,同市は,同社が既に多額の投資をして当該建物の建築に着手しようとしていることを無視し,かつ,その行動を積極的に妨げようとしたものであって,この点において建築基準法68条の2第2項が定める考慮要素を考慮しなかった違法があるなどとして,前記請求を認容した事例

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