裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成13(行ウ)120
- 事件名
建築物除却命令等請求事件
- 裁判年月日
平成13年12月4日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 建設中の建物が,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前)68条の2に基づく「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成11年国立市条例第30号)に違反しているとして,これにより日照,景観等について被害を受けると主張する者らが,都の建築指導事務所長に対し,同建物の違法部分について同法9条1項に基づく建築禁止命令及び除却命令を発しないという不作為が違法であることの確認及びこれらの各命令を発することを求めてしたいわゆる無名抗告訴訟のうち,不作為が違法であることの確認を求める訴えが,適法とされた事例 2 建築物の高さを規制した建築基準法及び条例に違反する建物の違法な部分により害される周辺住民の日照に対する利益,及び同条例により直接規制を受ける高さ制限地区の地権者の景観に対する利益が,建築基準法によって保護された法律上の利益に該当するとされた事例 3 建設中の建物が,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前)68条の2に基づく「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成11年国立市条例第30号)に違反しているとして,これにより日照,景観等について被害を受けると主張する者らが,都の建築主事は同建物について検査済証を交付してはならないとしていわゆる予防的不作為を求めた訴えが,却下された事例 4 根切り工事の着手及びその継続がされている建築物が,建築基準法3条2項にいう「現に建築の工事中の建築物」に当たらないとされた事例
- 裁判要旨
1 建設中の建物が,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前)68条の2に基づく「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成11年国立市条例第30号)に違反しているとして,これにより日照,景観等について被害を受けると主張する者らが,都の建築指導事務所長に対し,同建物の違法部分について同法9条1項に基づく建築禁止命令及び除却命令を発しないという不作為が違法であることの確認及びこれらの各命令を発することを求めてしたいわゆる無名抗告訴訟につき,前記事務所長に対し前記各是正命令を発することを求める義務付け請求に係る訴えは,一義的明白性の要件を欠き不適法であるが,前記各是正命令を発令しないことが違法であることの確認を求める不作為請求に係る訴えのうち,同人が建築基準法9条1項に基づく是正命令権限を行使しないことが違法であることの確認を求める部分は,無名抗告訴訟としての一義的明白性の要件を満たしており,また,地権者については,景観被害について事前救済を求める必要性が高いというべきであるから,緊急性の要件を満たしていると認めることができるなどとして,適法であるとした事例 2 建築物の高さを規制した建築基準法及び条例に違反する建物の違法な部分により害される周辺住民の日照に対する利益,及び同条例により直接規制を受ける高さ制限地区の地権者の景観に対する利益が,建築基準法によって保護された法律上の利益に該当するかにつき,同法自体が,建築物の高さ規制によって,周辺住民個々人の個別的利益としての日照を保護しているということができ,また,同法及び同条例は,前記地権者の特定の景観を享受する利益を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含んでいるとして,前記各利益は,同法によって法律上保護された利益に該当するとした事例 3 建設中の建物が,建築基準法(平成14年法律第85号による改正前)68条の2に基づく「国立市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例」(平成11年国立市条例第30号)に違反しているとして,これにより日照,景観等について被害を受けると主張する者らが,都の建築主事は同建物について検査済証を交付してはならないとしていわゆる予防的不作為を求めた訴えにつき,同人らの主張する損害のうち,プライバシー侵害や交通事故の危険性の増大は,同法によって保護された利益に係る損害とはいえず,また,日照や景観などの同法によって保護された利益に係る損害は,検査済証の交付によって生ずる損害とはいえないから,同人らは,前記不作為を求める法律上の利益を有しないとして,前記訴えを却下した事例 4 根切り工事の着手及びその継続がされている建築物につき,建築基準法3条2項にいう「現に建築の工事中の建築物」であるといい得るためには,建築物の建築の工事が行われていることが外部から客観的に認識できる程度に継続して実施されていることを要すると解するのが相当であるとした上,根切り工事については,建築物の建築の工事が行われていることが,外部から客観的に認識できるとはいえないなどとして,前記建築物は,同項にいう「現に建築の工事中の建築物」に当たらないとした事例
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