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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成11(行ウ)15

事件名

 違法支出金補填請求住民訴訟事件

裁判年月日

 平成13年5月25日

裁判所名

 静岡地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 公職選挙法違反により有罪が確定して当選無効になり市議会議員を辞職した者が当選から辞職までの間に市から支給を受けた議員報酬及び期末手当は不当利得に当たるとして,同人に対し地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位してされた前記報酬等の返還請求が,棄却された事例

裁判要旨

 公職選挙法違反により有罪が確定して当選無効になり市議会議員を辞職した者が当選から辞職までの間に市から支給を受けた議員報酬及び期末手当は不当利得に当たるとして,同人に対し地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号に基づき市に代位してされた前記報酬等の返還請求につき,当選人自身が選挙犯罪を犯した場合については,遡及的に当選の日から当選の効果は生じなかったことになると解されるが,公職選挙法上,当選無効議員のなした議員活動の効力について定めた規定はないことなどから,その議員活動については有効と解するのが相当であって,有効と解される議員活動と対価性を有する前記報酬等の請求権までが当然に遡って失われるものではなく,当選無効により失職した議員が提供した役務の提供ないし勤務により受けた市の利益と,同市が支給した前記報酬等を受けた同人の利益との間に差があると認められる場合に,その限度において,具体的な報酬等請求権が消滅し,不当利得返還請求権が生ずると解するのが相当であるところ,前記差があると認められるのは,当該議員が無形の精神活動すらなしえず,任期前において市政に関する調査,研究,思索していた内容がその後議案等という形で結実したわけでもなく,政党や会派にも所属していないような極めて例外的な場合に限定されるとした上,前記の者は,市議会会派の会長を務め,任期前に複数の議案について討議し同議案の提出者にも加えられていること,同議案は全会一致で原案のとおり可決されていることなどからすると,同人が提供した役務の提供ないし勤務により受けた市の利益と,市が支給した前記報酬等を受けた同人の利益との間に差があるということはできないとして,前記請求を棄却した事例

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