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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成13(行ク)5

事件名

 子の引渡し仮処分命令事件

裁判年月日

 平成13年5月25日

裁判所名

 青森地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 児童相談所長が児童福祉法33条に基づき一時保護を加えた児童の親権者が,県を相手方として民事保全法上の子の引渡しを求める仮処分申立ての適法性
2 児童相談所長が児童福祉法33条に基づき一時保護を加えた児童の親権者がした民事保全法上の子の引渡しを求める仮処分申立てが,却下された事例

裁判要旨

 1 行政事件訴訟法44条の規定は,行政処分の無効又は不存在を前提として民事訴訟によって実現し得る私法上の権利を主張し,これを被保全権利として民事保全法に基づく仮処分を求めることまで禁ずるものではないところ,親権者が親権に基づいて子の引渡しを求めることは,一般に民事訴訟によって実現し得るものであるから,親権者が親権に基づいて子の引渡しを求める民事保全法に基づく仮処分申立ては,子の一時保護が無効であることを前提として児童の引渡しを求める限度において適法である。
2 児童相談所長が児童福祉法33条に基づき一時保護を加えた児童の親権者がした民事保全法上の子の引渡しを求める仮処分申立てにつき,児童相談所長は,保護者が虐待するなどの理由で保護者に看護させることが不適当であると認める児童があるときは,必要に応じて当該児童に一時保護を加えるべきものと解され,この場合の一時保護については,児童相談所長において,当該児童を保護者に看護させることを不適当とする事情及び当該児童が緊急の保護を必要とする事情を相当程度の蓋然性をもって認めた場合には,保護者の意思にかかわらず,当該児童を一時保護することが許されると解されるところ,前記児童が母あてに出した手紙には,親権者により食事を抜かれたり,服を破かれたり,トイレに行くことを禁じられたり,蔵に閉じこめられたりしている旨が記載されており,これによれば,親権者が児童を適切に看護していない蓋然性を相当程度に認めることができ,このまま児童を親権者の下においては,児童の心身の安全が確保されず,児童を緊急に保護する必要性について相当程度の蓋然性を認めることができるから,前記一時保護は適法であるとして,前記申立てを却下した事例

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