裁判例検索

裁判例結果詳細

行政事件 裁判例集

事件番号

 平成10(行コ)32

事件名

 消費税更正処分等取消請求控訴事件(原審 津地方裁判所平成6年(行ウ)第9号)

裁判年月日

 平成12年3月24日

裁判所名

 名古屋高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たるとして,同条1項に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除を認めないとしてした消費税の更正が,適法とされた事例

裁判要旨

 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に当たるとして,同条1項に基づく課税仕入れにかかる消費税額の控除を認めないとしてした消費税の更正につき,同条7号,8項1号,9項1号が仕入れ税額の確認手段を帳簿等に限定し,その記載事項を厳格に法定している趣旨が課税庁の正確かつ迅速な申告内容の確認ということにあることからすると,同条7項にいう帳簿又は請求書等の「保存」とは,単に物理的な保存では足りず,また,帳簿等が作成された後のある時点で帳簿等が提示できる状態になっていればよいというものではなく,少なくとも当該帳簿等の内容が記載された取引にかかる課税期間の末日後は継続して,税務調査等のため税務職員等により適法な提示要求がされたときには,直ちに応じることができる状態になっていることをいうと解されるところ,税務調査等のため前記提示要求がされたにもかかわらず,正当な理由なく納税者がこれに応じなかったときは,その時点において帳簿等の保存がなかったことが事実上推定され,反証のない限り,仕入れ税額控除は認められないことになると解すべきであり,前記事実上の推定は,その後の訴訟手続等の時点において帳簿等の保存が確認されたからといって,それだけで直ちに覆されるものではなく,前記税務調査等の時点において帳簿等の保存がされていたことを推認させる事実の具体的な立証がされてはじめて覆されると解するのが相当であるとした上,当該税務調査等の時点において帳簿等が保存されていたことを推認させる事実の具体的な立証があったということはできず,前記の時点において帳簿等の保存がなかったことの事実上の推定が覆されることはないとして,前記消費税の更正を適法とした事例

全文