裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成10(行ウ)23
- 事件名
国籍確認等請求事件
- 裁判年月日
平成11年12月21日
- 裁判所名
大阪地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
フィリピン人である母の離婚後300日以内に出生した非嫡出子であって日本人である父により出生後に認知された子につき,国籍法2条1号により日本国籍を取得したものとは認められないとした事例
- 裁判要旨
フィリピン人である母の離婚後300日以内に出生した非嫡出子であって日本人である父により出生後に認知された子につき,国籍法は,国籍の取得に関しては認知のそ及効を認めないとの立場をとっていると解されるが,胎児認知という手続を適法にとることができないため子が生来的に日本国籍を取得するみちがないとするのは不合理であるから,客観的にみて,戸籍の記載上嫡出の推定がされなければ日本人である父により胎児認知がされたであろうと認めるべき特段の事情がある場合,すなわち,母の夫と子との間の親子関係の不存在を確定するための法的手続が子の出生後遅滞なく執られた上,同不存在が確定されて認知の届出を適法にすることができるようになった後速やかに認知の届出がされた場合には,前記胎児認知がされた場合に準じて,国籍法2条1号の適用を認め,子は生来的に日本国籍を取得すると解するのが相当であるとした上,前記父が前記子の胎児認知の届出をしなかったのは,前記母と同人の戸籍上の夫とが婚姻関係にあるため同届出をしても受理されなかったという事情があったからではなく,同父において同子が自分の子か前記母が婚姻していた夫の子か明確な認識がなかったためであり,仮に,同父が前記母の離婚後,前記子の出生前に胎児認知の届出をしていれば,同届出は戸籍実務上適法に受理され,同子の出生が前記母の離婚後300日以内であったので同子の出生後不受理処分がされ胎児認知の効力は失われるものの,さらにその後,同子と前記母が婚姻していた夫との親子関係が法的に否定されれば,前記不受理処分の撤回がされ,胎児認知の効力が復活するとの取扱いがされていたところであるから,前記胎児認知の余地が全くなかったものということはできず,また,前記子と前記母が婚姻していた夫との親子関係の不存在を確定するための調停は,同子が出生してから2年2か月後に同夫が申し立てたもので,さらに,同調停不成立後,前記親子関係の不存在を確認する判決が確定してから前記父が認知の届出をするまでに3か月近くの日時が経過しているから,認知の届出を適法にすることができるようになった後速やかに認知の届出がされたということはできないから,前記特段の事情は認められないとして,前記子につき,国籍法2条1号により日本国籍を取得したものとは認められないとした事例
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