裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成9(行ウ)18
- 事件名
道路廃止処分等取消請求事件
- 裁判年月日
平成11年11月24日
- 裁判所名
京都地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認又は取消しを求める訴えにつき,当該私道に沿接する土地の所有者及びその賃借人は原告適格を有するとされた事例
2 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認又は取消しを求める訴えにつき,当該私道の利用者は原告適格を有しないとされた事例
3 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認請求及び取消請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認又は取消しを求める訴えにつき,同法45条1項は,私道の変更又は廃止によってその道路に接する第三者の建築物の敷地が同法の定める接道義務に抵触することとなれば除去義務の対象となることから,そのような不合理が生じないように,特定行政庁が当該私道の変更又は廃止を禁止し又は制限し得る旨を定めたものと解され,したがって,同項は,当該私道に沿接する土地の所有者やその賃借人らの当該私道の利用についての利益を保護する趣旨を含むものと解すべきであるとして,前記土地の所有者及び賃借人は,前記各訴えについての原告適格を有するとした事例
2 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認又は取消しを求める訴えにつき,当該私道の利用者は,その維持,管理者である土地所有者らがこれを公共の用に供していることの反射的利益としてこれを利用する自由を享受するものにすぎず,その利用をもって法律上保護された利益ということはできないと解するのが相当であるとして,前記各訴えについての原告適格を有しないとした事例
3 市長が建築基準法(平成11年法律第87号による改正前)42条1項3号に該当する私道についてした道路廃止処分の無効確認請求及び取消請求につき,同法45条1項によれば,特定行政庁が私道の廃止を禁止し,又は制限できるのは,同法(平成10年法律第100号による改正前)43条1項に該当する場合のみであるから,特定行政庁は,私道の廃止申請があったときは,同項に該当する事由が存しない限り,当該申請に基づき道路廃止処分をしなければならないところ,同法45条1項が同法(平成10年法律第100号による改正前)43条1項を援用するのは,当該私道にのみ面している土地に存在する建築物が,私道の廃止処分により,一方的,事後的に接道要件を満たさなくなり違反建築物となる事態を避けるためであるから,同法45条1項にいう敷地とは,既に建物が存在する土地を意味すると解するのが相当であるとした上,当該道路に面した土地上には廃止処分により接道義務を満たさなくなる建物は存しないから,前記処分は適法であるとして,前記各請求を棄却した事例
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