裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成8(行ウ)10
- 事件名
平成8年(行ウ)第10号ないし第15号(以下「10号事件」のようにいう。)損害賠償請求事件
- 裁判年月日
平成11年11月17日
- 裁判所名
横浜地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求が,地方自治法242条2項の期間制限の適用を受けるとされた事例
2 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求期間の起算点が,談合に基づく受注契約の締結時又は変更実施協定締結時と解するのが相当であるとされた事例
- 裁判要旨
1 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求につき,同監査請求の対象となる財務会計行為は,前記事業団と市との間の年度実施協定又は変更実施協定の締結と考えるのが相当であり,財務会計行為がある以上,これを真正怠る事実ではなく不真正怠る事実に係るものとして監査請求をすることができるとみるのが相当であるとした上で,前記各協定は談合があることを知った上でされたものではないから,当該支出負担行為者に主観面の違法は認められないものの,前記協定に引き続いてされた請負契約の締結において談合に基づき受注価格がつり上げられたのであるから,受注価格と同じ金額を支払義務とする前記各協定は結果的に過大な支払を約束させられたという意味で事後的に瑕疵のあるものとなり,財務会計行為の違法を結果的に招来するというべきであるので,前記監査請求は,財務会計行為が結果的かつ事後的に違法であることにより発生する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実としているものであって,不真正怠る事実に係る監査請求であるとして,地方自治法242条2項の期間制限の適用を受けるとした事例
2 日本下水道事業団が6つの市との委託協定に基づいて請負業者らに発注した電気設備工事において,同事業団及び請負業者らにより,契約価格を発注予定価格に誘導する談合が行われたため,談合がなければ形成されたであろう価格に相応する工事委託料と落札価格に相応する工事委託料との差額相当額の損害を市が被っているにもかかわらず,市が前記事業団らに対する損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求期間の起算点につき,同監査請求の対象となる財務会計行為は,前記事業団と市との間の年度実施協定又は変更実施協定の締結と考えるのが相当であるものの,これらの協定成立の時点では市には結果としての損害は未だ発生しておらず,前記監査請求をすることができないから,同監査請求期間の起算点は,前記各協定後にされた前記事業団と請負業者らによる共同不法行為の完成時であり,具体的には談合に基づく受注契約の締結時又は変更実施協定締結時と解するのが相当であるとした事例
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