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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成8(行ウ)54

事件名

 損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成11年10月28日

裁判所名

 大阪地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 府から下水道施設建設工事を受託した事業団が指名競争入札を経て発注した前記工事の請負代金が,当該入札に参加した業者らの談合により不当に高額となったため,府は実際の契約金額と談合がなかった場合の契約金額との差額相当額の損害を被ったにもかかわらず損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求につき,地方自治法242条2項所定の監査請求期間の制限は適用されないとした事例 2 府から下水道施設建設工事を受託した事業団が指名競争入札を経て発注した前記工事の請負代金が,当該入札に参加した業者らの談合により不当に高額となったため,府は実際の契約金額と談合がなかった場合の契約金額との差額相当額の損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号後段に基づき前記事業団及び業者らに対してされた損害賠償請求が,棄却された事例

裁判要旨

 1 府から下水道施設建設工事の受託した事業団が指名競争入札を経て発注した前記工事の請負代金が,当該入札に参加した業者らの談合により不当に高額となったため,府は実際の契約金額と談合がなかった場合の契約金額との差額相当額の損害を被ったにもかかわらず損害賠償請求権の行使を違法に怠っているとしてされた住民監査請求につき,地方公共団体が詐欺に基づいて違法に高額の契約を締結したことによる損害賠償請求権の行使を怠っていることを理由とする監査請求の場合には,そこで問題とされている監査請求の具体的対象は,具体的な欺罔行為の事実の有無とそれと因果関係を有する損害の有無,程度であるとした上,前記請負代金に係る監査請求の対象は,談合をした業者らが府を欺罔して高い委託料を支出させたことを内容とする不法行為に基づく損害賠償請求権であるから,前記監査請求は,いわゆる真正怠る事実についてのものあって,地方自治法242条2項所定の監査請求期間の制限は適用されないといした事例 2 府から下水道施設建設工事の受託した事業団が指名競争入札を経て発注した前記工事の請負代金が,当該入札に参加した業者らの談合により不当に高額となったため,府は,実際の契約金額と談合がなかった場合の契約金額との差額相当額の損害を被ったとして,地方自治法(平成14年法律第4号による改正前)242条の2第1項4号後段に基づき前記事業団及び業者らに対してされた損害賠償請求につき,前記事業団が行う入札は,専ら同事業団の受ける利益の額を左右するものにすぎず,談合による入札における競争の阻害によって府に損害が発生する関係にはないといわざるを得ないから,府は談合によって損害を被ることはあり得ないとして,前記請求を棄却した事例

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