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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成9(行ウ)46

事件名

 公文書一部公開拒否処分取消及び損害賠償請求事件

裁判年月日

 平成10年10月28日

裁判所名

 横浜地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 市が消防組織法に基づいて消防庁に報告した「火災報告」,及び消防法に基づく調査の結果得られた火災原因等を集約した「火災調査報告書」,「火災原因認定書1」,「火災状況見分書」,「実況見分調書」,「質問調書」,「火災損害額算定関係書類」について,横浜市公文書の公開等に関する条例に基づいてされた公開請求に対し,実施機関である市長がしたその一部を非公開とする旨の一部公開決定が,適法とされた事例

裁判要旨

 市が消防組織法に基づいて消防庁に報告した「火災報告」,及び消防法に基づく調査の結果得られた火災原因等を集約した「火災調査報告書」,「火災原因認定書1」,「火災状況見分書」,「実況見分調書」,「質問調書」,「火災損害額算定関係書類」について,横浜市公文書の公開等に関する条例に基づいてされた公開請求に対し,実施機関である市長がしたその一部を非公開とする旨の一部公開決定につき,同条例9条1項1号は,「個人に関する情報であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの」を公開しないことができる旨を定めているが,そこにいう「個人に関する情報」とは,当該情報自体によって特定の個人が識別できる情報,又は識別できる可能性のある情報をいうものと解されるが,そのほか,当該情報のみでは特定の個人を識別できなくても,当該公文書以外の他の情報と組み合わせることにより特定の個人を識別することができる可能性がある情報も含まれるものと解され,また,当該情報が市政の内容を明らかにするという性質が弱い場合には,解釈により非公開を制限する格別の要請も認められないから,個人を識別する可能性が低いものであってもこれを非公開にすることに支障はないというべきであるとした上で,前記各文書は,市内で発生した火災についてその出火場所の番地,火元建物の建築面積や焼損面積,出火原因やその経過,あるいは着火物,建物の損害状況等を記載したものであるが,これらの情報は,それにより火元となった人ないしは建物やその所有者などが判明する可能性があるから,いわゆる個人識別情報に該当し,他方,そのいずれも市政の内容を明らかにするという性質をほとんど有していないことを考えると,市長がその一部を非公開とした判断には合理性が認められるとして,前記決定を適法とした事例

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