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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成6(行ウ)229

事件名

 所得税更正処分等取消請求事件

裁判年月日

 平成10年9月30日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 消費税法(平成6年法律第109号による改正前)30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」の意義

裁判要旨

 消費税法(平成6年法律第109号による改正前。以下同様)及び同法施行令(平成7年政令第341号による改正前,以下同様)は,主として課税仕入れに係る消費税額の調査,確認を行うための資料として帳簿又は請求書等の保存を義務付け,その保存を欠く課税仕入れに係る消費税額については仕入税額控除をしないこととしたものと解されるから,同法30条7項にいう「帳簿又は請求書等を保存しない場合」の「保存」とは,同項所定の帳簿又は請求書等が単に存在しているということだけではなく,同法施行令50条1項に規定する期間を通じて,定められた場所において,税務職員の質問検査権に基づく適法な調査によりその内容を確認することができる状態での保存を継続していることを意味するというべきであり,事業者は,この意味での保存の有無を,課税処分の段階に限らず,不服審査又は訴訟の段階においても主張立証することが許されるが,税務調査における税務職員の適法な提示要請に対し,事業者が正当な理由なく提示を拒否したために税務職員がその内容を確認することができなかったという事情が認められるときには,税務調査の当時において前記状態での保存がされていなかったことを推認できるから,前記「帳簿又は請求書等を保存しない場合」に該当するものとして,同法30条1項に基づく課税仕入れに係る消費税額の控除は認められないことになる。

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