裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成8(行ケ)48
- 事件名
放送局開設免許拒否処分に対する異議申立棄却決定の取消請求事件
- 裁判年月日
平成10年5月28日
- 裁判所名
東京高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 電波法4条所定の無線局の開設免許に当たり,開設免許される周波数が一つであるのに複数の申請がされた場合における各申請の優劣判定と手続の適否 2 テレビジョン放送のための電波法4条所定の無線局の開設免許に当たり,開設免許される周波数が申請者の数に足りない場合において,郵政大臣が割り当てられる周波数に応じて申請を調整するいわゆる一本化の調整のための行政指導をすることの適否
- 裁判要旨
1 電波法4条所定の無線局の開設免許に当たり,開設免許される周波数が一つであるのに申請者が複数存する場合においては,一方に対する免許処分と他方に対する免許拒否処分は表裏の関係にあるから,各申請の優劣の判定は,実体的に適法であるのみならず,手続的にも適法でなければならないところ,当該手続が適法であるというためには,これが法令の定めによったものであるとともに客観的に公正なものでなければならないから,事実の認定,手続の進行等において,行政庁の恣意を疑うのがもっともとされる事情が認められる場合には,そのような手続による処分,決定は違法となると解されるが,前記判定についてよるべき手続が法令上規定されている場合には,この法令上の規定を超えて更にいかなる手続によるかは,当該処分をする行政庁の合理的な裁量にゆだねられているから,前記事情はこれを主張する者が立証すべきである。 2 テレビジョン放送は,広く一般公衆に受信される番組の放送を目的とするものであって,公共性が極めて強いものであるところ,その放送をする免許の付与について割り当てられる周波数が申請者の数に足りない場合には,多数の申請が殺到し,かつ,申請者間において過当な競争を招き,種々の弊害が生ずるおそれがないとはいえないことからすると,申請者の協力を得て,公共放送の目的に合致し,運営上も経営上も安定した基盤を持つ放送事業者が免許を受けられるように調整することには合理性があるから,申請者の自由な意思が妨げられるようなことがない限り,テレビジョン放送のための電波法4条所定の無線局の開設免許に当たり,郵政大臣が申請者に対し,割り当てられる周波数に応じて申請を調整するいわゆる一本化の調整のための行政指導をすることは違法とはいえない。
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