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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成7(行ウ)15

事件名

 産業廃棄物処理業の許可及び同処理施設の設置許可拒否処分取消請求事件

裁判年月日

 平成10年1月27日

裁判所名

 仙台地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項に基づく産業廃棄物処理業の許可申請及び同法(平成9年法律第85号による改正前)15条1項に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可申請に対し,知事が各申請書を返戻した行為が,行政処分に当たらないとされた事例 2 不作為の違法確認の訴えにおける違法性の判断基準 3 廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項に基づく産業廃棄物処理業の許可申請及び同法(平成9年法律第85号による改正前)15条1項に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可申請に対し,行政指導を継続していることを理由として何らの処分をしないことが違法であるとして,知事に対してされた不作為の違法確認請求が,認容された事例

裁判要旨

 1 廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項に基づく産業廃棄物処理業の許可申請及び同法(平成9年法律第85号による改正前。以下同様)15条1項に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可申請に対し知事が各申請書を返戻した行為につき,同行為の性質は,申請についての審査の拒否と認められるところ,同法は,私人が行政庁に対し同法14条及び15条の各規定に基づく申請をした場合,行政庁の受理等の行為を予定しておらず,不受理の場合を念頭に置いた規定もないことからすると,知事は,申請書が到達した以上,直ちに審査を開始することが義務付けられているというべきであるから,前記審査の拒否は事実上の措置というほかはなく,これをもって何らかの法的効果を伴う行政処分がされたと認めることは困難であるとして,前記返戻行為は行政処分に当たらないとした事例 2 不作為の違法確認の訴えは,違法な不作為状態を解消し,最終的な救済に向けて中間的な解決を図るための訴訟であり,その性質上迅速な解決が要求されるから,その争点は,法令に基づく申請の有無と行政事件訴訟法3条5項にいう「相当の期間」の経過の点に絞られるというべきであって,この「相当の期間」の経過を正当とする事情の存否が問題となる場合があり,その中には行政指導の継続を理由とする場合が含まれるとしても,それは申請者が当該行政指導に従う意思を示していたか否かなど,行政指導の必要性やそれに対する申請者の対応等に立ち入るまでもなく,容易に判断が可能な事柄に限られる。 3 廃棄物の処理及び清掃に関する法律14条4項に基づく産業廃棄物処理業の許可申請及び同法(平成9年法律第85号による改正前)15条1項に基づく産業廃棄物処理施設の設置許可申請に対し,行政指導を継続していることを理由として何らの処分をしないことが違法であるとして,知事に対してされた不作為の違法確認請求につき,当該申請者が前記各申請をしてから既に2年余を経過している上,同人は同各申請をする前にもこれと同内容の申請をし,その際にも知事から申請書を返戻されたものであるところ,その時点からは4年余を経ていること,前記申請者は知事の行政指導に従う意思がない旨を明確に表明していること,不作為の違法確認の訴えにおいては行政指導の継続の必要性を処分留保の理由とすることはできないことなどからすると,前記各申請が,大規模な産業廃棄物処理施設に関するものであり,それが認められた場合の社会的影響も大きく,その許否については慎重な行政上の判断が要求されることを考慮しても,その判断の遅延及びそれに伴う相当期間の経過に正当な理由があるとはいえないとして,前記請求を認容した事例

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