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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成8(行ケ)274

事件名

 選挙無効請求事件

裁判年月日

 平成9年12月15日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 公職選挙法178条の3第2項の規定は憲法14条1項に違反するなどとしてされた,平成8年10月20日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙の無効請求が,棄却された事例

裁判要旨

 公職選挙法178条の3第2項の規定は,候補者届出政党である衆議院名簿届出政党等に対し,比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動のみならず,小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動を候補者個人の選挙運動に上乗せして行うことを許容するものであり,これによりいわゆる無所属の候補者は選挙運動の質量両面において著しい不利益を受けるから,前記規定は憲法14条1項に違反し,また,候補者届出政党に小選挙区選出議員の選挙運動を認める公職選挙法第13章中の規定は,候補者届出政党に所属する候補者とそれ以外の候補者とを著しく差別するものであるから,憲法14条1項,15条1項及び44条に反するなどとしてされた,平成8年10月20日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙の無効請求につき,比例代表選出議員の選挙運動は,飽くまで衆議院名簿届出政党等がその政策を国民に訴えるのが主であり,小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動にわたる部分は,従たる関係に立ち,この関係が逆転するような態様の選挙運動は同規定の許容するところではないから,このような制約の下に比例代表選出議員の選挙に係る選挙運動が小選挙区選出議員の選挙に係る選挙運動にわたることを許容した前記規定には合理性があり,違憲ということはできず,また,小選挙区選出議員の選挙における候補者届出政党に所属する候補者とそれ以外の候補者との間の選挙運動の差異は,候補者の自由にゆだねられた政党への加入又は政党の選択によって生ずる政治的色彩の濃いものであって,憲法がそのような差異を設けることを一切容認していないとすることは国会の立法裁量を著しく制約するものであって妥当でないなどとして,前記請求を棄却した事例

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