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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成8(行ウ)1

事件名

 鹿児島市中央卸売市場魚類市場水産物部売買参加者承認申請に係る非承認処分取消請求事件

裁判年月日

 平成9年6月20日

裁判所名

 鹿児島地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 市が開設する中央卸売市場における売買参加者の承認と市長の裁量 2 市が開設する中央卸売市場における売買参加者の承認申請に対し,市長がした非承認とする旨の処分が,裁量の範囲を逸脱したものであるとして,違法とされた事例

裁判要旨

 1 卸売市場法は,卸売業者及び仲卸業者については,許可制を採用するなど詳細に規定しているのに対し,売買参加者については,開設者の業務規程に委任しており,同法9条1項に基づく業務規程としての当該市の条例も,承認申請書の記載事項,市長の承認に当たっての非承認事由を規定するのみであることからすると,同法及び前記条例は,主として卸売業者及び仲卸業者に対する規制を通して,多種大量の生鮮食料品等の能率的集配機能の中核的拠点としての中央卸売市場において大量の取引を適正かつ確実迅速に処理させるという目的を達成しようとするものであって,前記の非承認事由は限定列挙であり,前記の承認に当たり,市長にはいわゆる効果裁量は認められず,また,前記の非承認事由のうち「卸売の相手方として必要な知識及び経験又は資力信用を有しない者」という要件は,その意味内容が一義的に明らかではないから,その該当性の認定判断に当たっては,いわゆる要件裁量が認められるが,この裁量権は,中央卸売市場における大量の取引の適正,確実迅速な処理の確保という観点からのみ行使されるべきであるから,前記要件の認定判断に当たっては,承認を受けようとする取扱品目の属する物品について一定期間以上の取引経験を有し,同物品を適正に評価し得る専門的技能経験を有するか否か,年間買受額が一定金額以上であるか否か,買受代金を確実迅速に決済するために必要な資産を有しているか否かといった観点からされなければならない。 2 市が開設する中央卸売市場における売買参加者の承認申請に対し,市長が,申請者である有限会社の当該市内所在の登記簿上の本店が全般の営業を統括することができる組織と権限を持つ事務所とは認められないことなどを理由として,同申請者は卸売市場法9条1項に基づく業務規程としての当該市の条例が売買参加者の非承認事由として定める「卸売の相手方として必要な(中略)信用を有しない者」に当たるとしてした非承認とする旨の処分につき,前記非承認事由の要件該当性の認定判断において認められる市長の裁量の範囲を逸脱したものであるとして,同処分を違法とした事例

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