裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成5(行コ)68
- 事件名
違法確認等請求控訴事件
- 裁判年月日
平成8年6月26日
- 裁判所名
大阪高等裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 財産区について地方自治法242条及び242条の2を適用することの可否 2 財産区の財産に関する行為についてされる住民訴訟の原告適格 3 同一の怠る事実についてされた地方自治法242条の2第1項3号に基づく請求と同項4号後段に基づく請求との関係 4 財産区の管理者である市長が締結した同財産区の所有に係る土地の売買契約が手続上の違法により無効であるとして,市長に対してされた地方自治法242条の2第1項3号に基づく所有権移転登記の抹消登記を得ることを怠る事実の違法確認請求及び同項4号後段に基づき買主に対してされた前記所有権移転登記の抹消登記手続等の請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 財産区の沿革,地方自治法の財産区に関する各規定によれば財産区の権能はその所有する財産又は公の施設の管理及び処分又は廃止に限られており,原則として固有の機関を有さず,その意思決定機関は同法295条所定の財産区の議会又は総会が設けられたとき以外は市町村等の議会となり,その執行機関は市町村等の長が予定されていると解されること及び財産区が法人格を有する特別地方公共団体であることを考慮すると,同法294条1項は,財産区の事務を財産区の所在する市町村等に委任する趣旨の規定と解すべきであり,当該事務は団体委任事務に当たるから,財産区についても同法242条及び242条の2の規定が適用される。 2 財産区の財産に関する行為についてされる住民訴訟については,財産区の住民のみならず,当該財産区の所在する地方公共団体の住民も原告適格を有する。 3 同一の怠る事実につき地方自治法242条の2第1項3号に基づく請求と同項4号後段に基づく請求のいずれを請求すべきかについて,同法はこれらの間の優先順位や複数の請求をすることを許さない旨を定めていないし,地方公共団体の執行機関等の違法な財務会計行為を是正しその権利行使の実効性を確保する手段として,いずれが有効適切であるかは個々の事案により異なるのであるから,前記各請求のいずれを選択するか,あるいは両方の請求をするかは,訴えを提起する住民の意思にゆだねられているというべきであって,同項4号後段に基づく請求をするときには同項3号に基づく請求に係る訴えが訴えの利益を欠き不適法になると解するのは相当でない。 4 財産区に議会又は総会が設けられておらず,かつ,財産区管理会が置かれていない場合において,財産区の管理者である市長が締結した同財産区の所有に係る土地の売買契約が手続上の違法により無効であるとして,地方自治法242条の2第1項3号に基づき市長に対してされた所有権移転登記の抹消登記を得ることを怠る事実の違法確認請求及び同項4号後段に基づき買主に対してされた前記所有権移転登記の抹消登記手続等の請求につき,同法上前記の場合に財産区の所有に係る財産の処分につき財産区の住民の同意を得なければならないことを定めた規定は存しないことに照らすと,同区住民の同意を要すると解することはできず,また,知事が前記売買契約につき同法296条の5第2項に基づいてした認可にも重大かつ明白な瑕疵はないとして,前記違法確認請求及び抹消登記手続等の請求が,いずれも棄却された事例
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