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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成6(行コ)61

事件名

 裁決処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成7年5月30日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成5年法律第41号による改正前)3条による指定に不服があるとして国家公安委員会に対してされた審査請求において,行政不服審査法31条に基づき警察庁の職員に審理を行わせることの可否 2 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成5年法律第41号による改正前)3条による指定に対する審査請求を棄却した国家公安委員会の裁決の取消請求が,同法26条1項は憲法13条及び31条に違反せず,審理手続に違法はなく,また,理由付記の不備もないとして,棄却された事例

裁判要旨

 1 行政不服審査法31条にいう「その庁の職員」とは,審査庁の指揮監督権の下にその事務を補助する職員をいうものと解するのが相当であり,審査庁の内部部局に属する職員に限られるものではなく,また,審査庁が同法に定める適正な審理手続を行わせる程度に指揮監督できる地位にある者であれば足りるところ,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成5年法律第41号による改正前)3条による指定に不服があるとして国家公安委員会に対してされた審査請求において,国家公安委員会に対する不服申立てに関する規則(平成4年国家公安委員会規則第2号)3条1項に基づき警察庁長官から指名された警察庁の職員は,同委員会の事務を補助する職員であり,警察庁長官の指揮監督を通じて同委員会の管理の下に職務を遂行することになる点で同委員会が前記程度の指揮監督権を及ぼし得る者であるから,前記の「その庁の職員」に当たり,国家公安委員会は,その者に行政不服審査法25条1項ただし書所定の審査請求人の意見陳述及び同法27条所定の参考人の陳述の各聴取を行わせることができる。 2 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成5年法律第41号による改正前)3条による指定に対する審査請求を棄却した国家公安委員会の裁決の取消請求につき,前記指定の事前手続に関与すべき地位にある同委員会を審査庁と定める同法26条1項が憲法13条及び31条に違反するとはいえず,また,警察庁の職員が行政不服審査法25条1項ただし書所定の審査請求人の意見陳述及び同法27条所定の参考人の陳述の各聴取を担当したこと,並びに,警察庁の職員が専決によって審査手続における物件提出要求の申立てを却下したことはいずれも適法であり,審理は十分に尽くされ,さらに,裁決の理由はその結論に至るまでの論理的な判断の過程を明らかにし,審査請求人が判断の理由を理解し得る程度に記載されているから,審査請求人の手続上の主張に対する判断が示されていないからといって形式的な不備があるとはいえないなどとして,前記請求が棄却された事例

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