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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成3(行ウ)81

事件名

 建築不許可処分取消請求事件

裁判年月日

 平成5年2月17日

裁判所名

 東京地方裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 特定の地域について都市計画事業が長期間にわたって行われていない結果となっているとしても,特段の事情のない限り,当該地域においてその期間中都市計画法54条の要件に適合しない建物の建築を許可しないことをもって違法とすることはできないとした事例 2 都市計画法54条所定の要件に適合しない建築と同法53条1項の許可 3 都市計画法54条に定める建築許可基準及びその運用方針として東京都が定めた許可取扱基準(昭和56年4月7日付け東京都都市計画局長通達)中の建築物の敷地のうち都市計画道路の区域外に属する土地の面積に関する基準に適合しないことを理由としてされた建築不許可処分が,違法ではないとされた事例 4 都市計画法54条に関し東京都が定めた許可取扱基準(昭和56年4月7日付け東京都都市計画局長通達)中の鉄筋コンクリート構造を許可の対象外とする旨の規定に基づいてされた建築不許可処分が,違法ではないとされた事例

裁判要旨

 1 都市計画は,その性質上,都市計画事業の完了までには相当長期間を要することが本来予定されているものであり,その完了までに長期間を要するのはやむを得ないものである上,都市計画道路に係る都市計画では,全体としての道路網の整備が必要とされ,全体と切り離して特定の街路又はその一部分のみの整備の必要性,合理性の有無を論ずることはできないから,特定の地域についてたまたま都市計画事業が長期間にわたって行われない結果となっているとしても,特段の事情がない限り,都市計画決定に基づく建築制限の効力は否定されず,当該地域において都市計画法54条の要件に適合しない建物の建築を許可しないこととしても,それをもって違法とすることはできないとした事例 2 都市計画法54条所定の要件に適合しない建築につき同法53条1項の許可をすることができるか否かの判断については,都市計画事業の円滑な施行の確保という見地からする専門技術的な裁量にゆだねられているものというべきである。 3 都市計画法54条に定める建築許可基準の運用方針として東京都が定めた許可取扱基準(昭和56年4月7日付け東京都都市計画局長通達)中の「建築物の敷地のうち都市計画道路の区域外の面積が100平方メートル以内である」場合には建築許可をすることができる旨の規定は,都市計画道路の区域外にある土地が100平方メートルを超えるものであれば,建築制限の課せられていない当該敷地に寄せて建物を建築することが可能であると考えられるところから設定されたものと解されるから,当該基準には合理性があり,同基準に適合しないことを理由としてした建築不許可処分は,違法ではないとした事例 4 都市計画法54条に関し東京都が定めた許可取扱基準(昭和56年4月7日付け東京都都市計画局長通達)中の鉄筋コンクリート構造を許可の対象外とする旨の規定につき,同条に規定する移転,除去の容易性は,経済的のみならず物理的容易性を含むものというべきところ,鉄筋コンクリート構造は,その移転,除去が物理的に他の構造によるものより困難であることから,当該基準には合理性があり,同基準に基づいてされた建築不許可処分は,違法ではないとした事例

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