裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成4(行ウ)1
- 事件名
加茂市処分差止,取消請求事件
- 裁判年月日
平成4年11月26日
- 裁判所名
新潟地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 教育の事業と憲法89条後段にいう「公の支配」 2 市が私立大学建設事業に係る建設事業費寄付金として公金を支出することが,憲法89条後段に違反しないとされた事例 3 市が私立大学建設事業に係る建設事業費寄付金として公金を支出することが違憲,違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記寄付金の支出命令の差止め及び収入役に対してされたその支出行為の差止めの請求が,いずれも棄却された事例
- 裁判要旨
1 教育の事業が憲法89条後段の「公の支配」に属しているというためには,国又は地方公共団体等の公の権力が当該教育事業の運営,存立に影響を及ぼすことにより,当該事業が公の利益に沿わない場合にはこれを是正し得る方途が確保され,公の財産が濫費されることを防止し得ることをもって足り,必ずしも,当該事業の人事,予算等に公権力が直接的に関与することを要するものではない。 2 市が私立大学建設事業に係る建設事業費寄付金として公金を支出することにつき,当該私立大学の設置主体である学校法人は私立学校法により,設置予定の当該私立大学は学校教育法により,それぞれ規制を受け,また,前記学校法人は,当該寄付に関して私立学校振興助成法及び当該市の補助金等交付規則による規制を受けていること,さらに,大学建設用地に係る市と当該学校法人との間の無償譲渡契約においては,土地の用途を4年制大学の施設敷地と指定され,目的に違反した場合には当該契約を解除できるとされていることなどからすれば,前記学校法人に対する公の支配は十分に及んでいるというべきであるとして,前記寄付は,憲法89条後段に違反しないとした事例 3 市が私立大学建設事業に係る建設事業費寄付金として公金を支出することが違憲,違法であるとして,地方自治法242条の2第1項1号に基づき市長に対してされた前記寄付金の支出命令の差止め及び収入役に対してされたその支出行為の差止めの請求が,当該事業は憲法89条後段にいう「公の支配」に属する教育事業に当たり,また,前記大学の設置は,地域経済の活性化,地域文化の向上,地域社会の発展等に資するという点において適切な公益目的を有するものであり,前記寄付は,当該公益目的の実現に欠くことのできないものであるから,同法232条の2にいう公益上必要がある場合に該当するとして,いずれも棄却された事例
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