裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
平成2(行ウ)72
- 事件名
固定資産税賦課決定処分無効確認請求事件
- 裁判年月日
平成3年10月16日
- 裁判所名
東京地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 地方税法348条2項ただし書の「有料」の意義 2 地方税法348条2項ただし書が,固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号の固定資産として使用する場合について固定資産税を「課することができる。」と規定した趣旨 3 学校法人が借り受け,その設置する学校において直接教育の用に供している土地についてされた固定資産税及び都市計画税の各賦課決定処分が,同学校法人は,当該土地を借り受けるについて,その所有者に前記各税の額の26.52パーセントから35.25パーセントに相当する額の金員を支払っているところ,これは両者の合意に基づくもので,その額も単に謝礼というには多額であり,社会通念上無視できる程度に少額とはいえないから,同学校法人は,地方税法348条2項ただし書の「固定資産を有料で借り受けた者」に当たるとして,適法とされた事例
- 裁判要旨
1 地方税法348条2項ただし書の「有料」とは,土地等の貸借と関連して,借主が貸主に一定の金員を支払う旨の合意が成立し,その合意に基づく債務の履行として金員を支払うべき関係が存在することをもって足り,その金員の額が取引上当該土地等の貸借の対価に相当する額に至らないものであっても,それが社会通念上無視し得る程度に少額である場合を除き,なお,「有料」で借り受ける場合に当たるものと解するのが相当である。 2 地方税法348条2項ただし書が,固定資産を有料で借り受けた者がこれを同項各号に掲げる固定資産として使用する場合に固定資産税を「課することができる。」と規定した趣旨は,その場合に固定資産税を賦課するかどうかを課税権者である地方公共団体の裁量にゆだねたものであると解すべきであるから,地方公共団体はその条例によってこの点についての定めをしなければならず,課税庁は,条例によって更にその裁量にゆだねられない限り,個々の賦課決定ごとに前記の内容の裁量を有するものではない。
- 全文