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行政事件 裁判例集

事件番号

 平成1(行コ)69

事件名

 公文書公開拒否処分取消請求控訴事件

裁判年月日

 平成3年5月31日

裁判所名

 東京高等裁判所

分野

 行政

判示事項

 1 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)5条1項2号にいう「明らかに不利益を与えると認められるもの」の意味 2 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)5条1項1号にいう「特定の個人が識別され,又は識別され得るもの」の意味 3 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づく共同住宅の各階平面図,立面図及び断面図の閲覧請求に対する知事の公開拒否処分が,これらの図面は,同条例5条1項1号にいう「個人に関する情報であつて,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの。」に該当し,また,これらを公開することは,設計者が有する著作物の公表権を侵害するから,同項2号にいう「法人その他の団体に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であつて,公開することにより,当該法人等又は当該個人に明らかに不利益を与えると認められるもの。」に該当するとして,適法とされた事例 4 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)に基づく公文書公開請求に対する拒否処分の理由付記につき,違法はないとされた事例

裁判要旨

 1 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)5条1項2号本文にいう「明らかに不利益を与えると認められる」とは,文書を公開することにより法人等が不利益を受ける「おそれ」があるにすぎない場合では不十分である一方,その不利益が「重大」又は「著しい」ものであることを要しない趣旨であるから,同規定は,法人等に与える不利益の大小を問わないが,不利益を与えることが客観的かつ明白なものでなければならないことを定めたものである。 2 神奈川県の機関の公文書の公開に関する条例(昭和57年神奈川県条例第42号)5条1項1号にいう「特定の個人が識別され,又は識別され得るもの」に該当するためには,当該文書そのものだけで特定の個人が識別できるという必要はなく,当該文書での情報のほかに,容易に取得し得る他の資料を総合することにより特定個人を識別できる場合もこれに該当する。

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