裁判例結果詳細
行政事件 裁判例集
- 事件番号
昭和60(行ウ)17
- 事件名
審査決定取消請求事件
- 裁判年月日
平成2年9月26日
- 裁判所名
広島地方裁判所
- 分野
行政
- 判示事項
1 市固定資産評価審査委員会を被告として提起した固定資産税の価額決定処分の取消しを求める訴えを,出訴期間経過後に,同委員会を被告とする審査決定の取消しを求める訴えに交換的に変更した場合につき,訴状の記載や訴えの変更の経過等からすれば,原告は,訴え提起の時から被告に対し前記審査決定の取消しを求める趣旨を表明していたということができるから,その変更後の訴えは,出訴期間の遵守に欠けるところがないとした事例 2 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)と憲法92条,94条,地方税法3条 3 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)と憲法84条,地方税法3条 4 「固定資産評価基準に基づき自治大臣が別に指示する事項について」(昭和53年11月16日付け自治固第158号及び昭和59年12月25日付け自治固第107号自治省税務局長通達)と憲法84条,地方税法3条 5 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)の法的拘束力 6 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)が定める家屋の価格算定の基準が不合理であることを窺わせる事情は認められないから,同基準は家屋の価格算定につき法的拘束力を有するとした事例 7 市長が家屋につき固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)に基づいてした評価が適法とされた事例 8 固定資産評価審査委員会が口頭審理外で行った職権調査の結果等を判断の基礎として採用し,審査申出を棄却するときでも,当該調査結果等を口頭審理に上程する手続を経ることを要しないとした事例
- 裁判要旨
2 地方税法で固定資産税の課税標準を固定資産の適正な時価とし,その評価の方法等について自治大臣の定める固定資産評価基準によると定め,評価方法等について市町村長の裁量を入れる余地がないものにしたとしても,自治体の有する課税権を何ら否定するものではなく,また,地方自治の本旨にも反しないから,自治大臣が同法388条1項に基づいて定めた固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)は,憲法92条,94条,地方税法3条に違反しない。 3 地方税法388条1項は,固定資産税の課税標準を適正な時価と定め,その細目的・技術的な事項を自治大臣の告示に委任したものであるから,その委任に基づき自治大臣が定めた固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)は,憲法84条,地方税法3条に違反しない。 4 「固定資産評価基準に基づき自治大臣が別に指示する事項について」(昭和53年11月16日付け自治固第158号及び昭和59年12月25日付け自治固第107号自治省税務局長通達)は,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)の委任に基づいて発出されたものであるところ,同委任は極めて限定された技術的な事項についてのものであって,地方税法388条1項が自治大臣の告示に委任した趣旨を逸脱するものとはいえないから,同通達は,前記固定資産評価基準を補充する効力を有するものであって,憲法84条,地方税法3条に違反しない。 5 固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)が地方税法が固定資産税の課税標準として定める適正な時価を算定する基準ないし方法として不合理なものであれば,法的拘束力を有しない。
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